研究課題/領域番号 |
16K10094
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中目 和彦 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (70448570)
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研究分担者 |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
谷本 昭英 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10217151)
山田 和歌 鹿児島大学, 附属病院, 特任助教 (20457659)
川野 孝文 鹿児島大学, 附属病院, 特任助教 (40457651)
加治 建 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (50315420)
向井 基 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (80468024)
山田 耕嗣 鹿児島大学, 附属病院, 特任助教 (80528042)
大西 峻 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (10614638)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 壊死性腸炎 / 新生児 / GLP-2 / 予防 / ラット |
研究実績の概要 |
壊死性腸炎(NEC)は新生児、特に低出生体重児に発症する腸管の未熟性、感染等を原因とする腸管の壊死を伴う腸管不全であり、発症すれば高率な死亡率(約40%)を有する疾患である。また手術においては広範囲腸切除により短腸症候群を来す可能性が高い。 近年、早産児、低出生体重児の出生数が増加しており、それに伴い生存率を高めるだけでなく、intact survival(後遺症なき生存)が目指されている。 グルカゴンライクペプチドー2(GLP-2)は腸管に対する成長因子、抗炎症作用を有するペプチドであり、短腸症候群・炎症性腸疾患への臨床応用が期待されている。現在、欧米では短腸症候群に対して第3相試験まで進行中である。当研究は壊死性腸炎ラットモデルを用いてGLP-2の治療効果を証明し、NECへの臨床応用を目指し、新生児のintact survivalの改善、少子高齢化時代における貴重児の健全な成長を目的とするものである。 本年は、まず壊死性腸炎ラットモデルの改良を行った。当科で確立したモデル作製率は60%から70%であったため、プロトコールの変更により80%まで作製率を上げることが出来た。さらにGLP2の効果を検討するために、早期投与群と晩期投与群を作製し、適正量や投与時期と有効性についての検討を行うため実験を開始した。評価は現時点で、組織学的検討と生存率のみであるが、有効性は確かであることが示されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年はまず壊死性腸炎ラットモデルの確立を行った。 実験動物が確立した状態でGLP-2の早期投与と晩期投与を行い、組織学的検討を行っている。 早期投与と晩期投与を行うことによりGLP-2の予防効果と治療効果を検討している。 早期投与群ではNECの組織学的変化がコントロールと比較して軽減していることが示された。 晩期投与群では早期投与と比較して組織学的障害が軽減しているデータがあるが有意差は得られていない。このことはGLP-2の壊死性腸炎に対する予防効果のみならず治療効果を示すものである。効果は認めるため、有効な投与量の検討また実験症例数が不足しているため、追加実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
GLP-2の壊死性腸炎に対する効果を認めることより、有効な投与量、投与法の検討を行っている。GLP-2の治療効果を証明できれば、組織学的検討のみならず生化学的検討を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
壊死性腸炎の動物モデルの手技確立に時間を要したため、予定していた実験に遅延を要したため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、動物実験の手技は安定しており、GLP-2の投与実験が進行している。組織学的検討の他に生化学的検討を予定している。
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