呼吸は胎児期に始まり、γ―アミノ酪酸(GABA)が重要な役割を果たしている。GABAをシナプス小胞に充填する小胞型GABAトランスポーター(VGAT)欠損マウス及びCl-を細胞外に排出し、GABAを抑制性に導くK+-Cl--共輸送体(KCC2)欠損マウスは、ともに呼吸不全で生直後に死亡する。これらの遺伝子欠損マウスの舌下神経核を構成する運動神経細胞において、胎児期呼吸リズムを比較すると、呼吸を発生させるためにはGABAシナプスの入力が必須で、かつ規則正しいリズム形成には細胞内Cl-濃度([Cl-]i)が低値となりGABAが抑制性に働くことが必要であることが示唆された。 胎齢14日齢(E14)のC57/BL6J正常マウスを用い、KCC2及びVGATの舌下神経核における検出を試みた。KCC2及びVGATいずれも、その発現量及び発現分布について個体差が大きかったが、前年度までの結果と比較すると、胎齢16日齢(E16)よりも発現量は少ない傾向を示した。加えて、本年度は発達過程におけるC57/BL6J正常マウスを用いた、胎齢16日齢(E16)から生後7日齢(P7)の舌下神経核に入力してくるGAD陽性細胞の発現を免疫組織化学法により検出を試みた。GAD67-GFPノックインマウスを用いて行った予備実験同様、正常マウスの舌下神経核内において、いずれの日齢においてもGAD陽性細胞は検出できなかったが、他の延髄の領域においてその発現を確認できた。
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