研究課題/領域番号 |
16K10097
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
生田 和史 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (60512184)
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研究分担者 |
小林 敬広 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00708745)
石岡 賢 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50305356)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 先天感染 / サイトメガロウイルス |
研究実績の概要 |
サイトメガロウイルス(CMV)は健康成人の約70%に不顕性感染している。しかしながら妊婦のCMV初感染は高率に胎児へ先天性CMV感染を引き起こす。先天性CMV感染の多くは不顕性感染であるが、一部感染児には死産、精神発達障害、聴覚障害などを生じる。 CMVが垂直感染するメカニズムの詳細は明らかにされていない。ウイルスの垂直感染阻止機構のひとつとして、胎盤栄養膜(placental trophoblast)由来エクソソームに含まれるマイクロRNA(pt-miRNA)によるオートファジー誘導が報告されている。多くのウイルスはpt-miRNAにより経胎盤感染出来ないにもかかわらず、pt-miRNAはむしろCMV感染を促進させる。CMV感染におけるpt-miRNAの役割を明らかにすることによりある種のpt-miRNAがリスクファクターと分かれば、これを標的とした積極的な予防法の開発に繋げることが出来る。 初年度は胎盤に高発現する2種類のmiRNAを細胞へ導入し、CMV感染効率の上昇を確認した。しかしながら上昇率は顕著ではなかった。本年度はアメリカピッツバーグ大学よりpt-miRNAを恒常的に発現する細胞株を入手した。胎盤での高発現が知られているmiRNA群をコードする第19番染色体の領域をBACを用いて組み込んだ細胞株である。本細胞株にCMV感染を試みたところ、CMV感染効率の顕著な上昇を認めた。現在、複数の方法で感染効率の上昇を確認するとともに、pt-miRNAがCMV感染効率上昇に寄与する詳細機構の解明を目指して研究を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は所属機関の変更に伴って、計画よりもやや遅れていた。しかし研究環境の充実と新医学部棟への引越完了により、その後の研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
胎盤に高発現するmiRNA群を恒常的に発現する細胞株を入手した。今後は本細胞株を用いてCMV感染と胎盤由来miRNAの関係を解析し、母子感染防止に貢献できる研究成果を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者2名の使用予定分40万円が未使用であるため、次年度使用額が生じている。 2名とも翌年度に消耗品の購入等で使用予定である。 研究代表者の次年度使用額1,587円は見積額と請求額の差で生じたものであり、次年度の消耗品に充てる予定である。
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