研究実績の概要 |
妊娠中のサイトメガロウイルス(Cytomegalovirus, CMV)感染は時に胎児へ重篤な先天感染症を引き起こす。先天感染のメカニズムを探るため、胎盤環境とウイルスの関係に着目して検討を行った。 第19番染色体に存在する100kbp程度のmiRNA clusterであるC19MCを利用した。C19MC BACを導入したヒト骨肉腫由来上皮細胞株U2OSにCMV(AD169株またはTowne株)を感染させ、C19MCの有無による感染効率を比較した。RT-qPCRと免疫染色によりウイルス前初期抗原(Immediate Early, IE)発現、infectious center assayにより感染細胞からのウイルス産生量を比較した。その結果、C19MC導入によりCMV IE発現量、IE陽性細胞数は顕著に増加した。感染細胞から生じるウイルス量も増大した。 C19MCはCMV感染効率上昇に寄与する可能性が示唆された。胎盤栄養膜からのmiRNAにより先天性CMV感染が惹起される可能性が考えられる。C19MCに属するどのmiRNAがどのような機序でCMV感染を促進させているのか検討中である。
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