研究課題/領域番号 |
16K10102
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
中川 隆志 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30571004)
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研究分担者 |
高橋 幸博 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (60142379)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 新生児DIC / Thrombopas / プロテインC |
研究実績の概要 |
新生児は、小児期を通じて容易に播種性血管内凝固(DIC)や血栓症を発症する。新生児の止血機構に関与する因子の中で、フィブリノゲンと凝固促進作用を有する第V因子、第Ⅷ因子は出生時既に成人量に達している。一方、他の艦由来の凝固・線溶因子やその抗凝固因子は新生児肝の未熟性からその産生量は成人量の約1/2であり、新生児は成人と異なる止血バランスを維持しつつ成長する。我々は新生児DICと血栓症の発症と病態に活性化第V因子と活性化第Ⅷ因子を不活化するプロテインC制御機構が重要と考えている。特に低出生体重児や病的新生児のPC制御機構全体の予備能をHemosilTMThrombopasを用い測定することでPC制御機構の低下例を予知し、新鮮凍結血漿の他に治療法の開発やTM製剤の治療効果をin Vitroで検証する。 HemosilTMThrombopasを用い健康成人20名と当院NICUに入院となった新生児約50人のPICI%(Protac-Induced Coagulation Inhibition %)を背固定した。健康成人の結果から当院でのPICI%のcut off値を算出し、新生児との比較を行い、新生児での基準値作成を行った。またPC活性、PS活性、AT活性を並行して測定した。 ハイリスク妊婦から出生した新生児や新生児仮死、感染症などの新生児疾患患者でのPC制御機構の特徴を明らかにするため、PICI%の測定およびPC活性、PS活性、AT活性を行いつつ、症例数を増やしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
科研の開始が後期からであったため、現在半年での進展状況であるため、当初の28年度で行う予定の研究が遅れてきている。また思った以上に検体収集が困難であり、当初予定していた症例数に到達できていないことも大きな理由の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
在胎週数(正期産、後期早産児、早産児;28週以上)および出生体重(2500g以上、2500g未満1500g以上)でのHemosilTM ThrombopathでのPICI%の基準値の作成を行う。検査結果から、AGA児とSGA児との比較を行う。またハイリスク妊婦から出生した新生児、新生児仮死や感染症罹患時ののPC制御機構の特徴を明らかにする。 PC制御機構の総和を示すPICI%と下記のPC活性との比較を行い、基礎疾患によりPC活性低下に起因するのか、Free PS低下に起因するかを判別する。 HemosilTM Thrombopathでの新生児DICのPICI%やPC活性、PS活性(平成30年度も継続)とTMを含めた抗DIC治療法との関連を明らかにする。新鮮凍結血漿製剤あるいはTM製剤の投与前の効果検証を、HemosilTM Thrombopathの測定原理の希釈液40μLの部位で添加し、両製剤の有効性の検証に保存被検検体を用いて使用可能かを検討する。AT欠乏血漿や患者検体にATⅢ製剤を添加し、ATのトロンビン生成や抑制への関与をHemosilTM Thrombopathにて検討する。 新生児DICでの活性型プロテインC(APC)製剤あるいは非活性型プロテインC(PC)試薬の比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の科研費採用が後期からであり、半年間での研究費用しか必要でなかったこと、そして、思ったほど検体数が集まらなかったため、試薬にかかる費用が少なく、また研究成果を発表する学会参加がなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は病棟拡充があり、入院患者が大幅に増加したこと、研究成果の発表を積極的に行い、論文へとつなげる予定であり、物品費や旅費、そのた諸経費が大幅に増えることが予想される。
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