研究課題/領域番号 |
16K10108
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
市塚 清健 昭和大学, 医学部, 准教授 (00338451)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | HIFU / 超音波治療 / 胎児治療 / TRAP sequence |
研究実績の概要 |
1) 高強度短時間集束超音波照射が可能なトランスデューサーの作成 HIFUトランスデューサーは8cmの固定焦点距離のものを作成した。画像用プローブはHIFU用トランスデューサーの中央に配置し、それぞれが同軸上に超音波を発することでHIFU照射対象に対してターゲッティングし易くした。 2) 1)で作成したHIFUトランスデューサーを用いて、キャビテーション発生目的での高強度短時間集束超音波照射(トリガーパルス)を従来の過熱作用集束超音波照射さらに画像用超音波を挿入する目的での休止期を組み込んだ超音波照射シーケンスを開発した。 3) 1)で作製した一体型治療用トランスデューサーを用いHIFU用超音波ファントムを用い実際のHIFU照射部位と画像上の照射のキャリブレーションを行った。この方法で照射部位が超音波画像上の位置と正しいことを確認した。この際HIFU照射部位の変性の変化の仕方(変性範囲、変性スピード、変性の方向)をビデオ撮影し詳細に観察し、特性を確認した。その際ファントム表面の温度をサーモグラフィで撮影し観察した。さらに高フレームレート(~1000FPS)で観察可能な超音波診断装置を用いて表面のキャビテーション発生を観察し、キャビテーション発生前後の温度を計測し発生直前は温度上昇のないことを確認したところ、表面温度上昇に先立ちキャビテーションによるバブルが生成されることが確認できた。この事実が確認できたことより臨床応用の際に皮膚でのキャビテーション発生直前でHIFU照射を中止することで皮膚熱傷を防ぐことが可能になると思われた。一方、十分に変性ができなかったこともあったため、今後は複数のセラミックからなるHIFUトランスデューサーの作成および照射パターンの検討が課題となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では固定焦点距離6,8,10cmのHIFUトランスデューサーを作成する予定であったが、現段階では最も臨床応用に頻用されると考えられる8cm固定焦点のみの作成にとどまっている。まず8cm固定焦点HIFUトランスデューサーを用いてファントム実験を行い、照射が問題なく可能であることが確認できてから6,10cmのHIFUトランスデューサーを作成する予定であったが、ファントムの発注から実際に配送されるまでに時間を要したことや、設定条件が定まるまでに数回の実験が必要であったことから現在は8cm固定焦点HIFUトランスデューサーの作成に留まっていいる。また、8cm焦点HIFUトランスデューサーを用いたシーケンシャル照射で十分に変性ができなかったこともあったため、今後は複数のセラミックからなるHIFUトランスデューサーの作成および照射パターンの検討が課題となったため、その検討に時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は6,10cmのHIFUトランスデューサーを作成して、ファントムを用いて照射条件およびターゲティングのキャリブレーションを行う。さらに複数のセラミックからなるHIFUトランスデューサーの作成も行っていく予定である。それにてファントム、鳥肉を用いたin vitro照射実験を行い正常に作動することが確認され次第次年内にTRAP sequence症例に対して臨床応用開始する予定である。次々年度は臨床応用症例について胎児治療の効果検証を行う程である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の研究計画では固定焦点式HIFUトランスデューサーを6,8,10cm3種類作成予定であったが、固定焦点8cmのHIFUトランスデューサーのみの作成に留まった。そのため、HIFUトランスデューサーの中央に配置する画像用超音波プローブを必要としなかったため、次年度に持ち越し、次年度に購入予定とした。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に画像用超音波プローブを購入し6cmまたは10cmのHIFUトランスデューサーの中央に配置に配置する予定である。
|