• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

Angiopoietin-1による肺胞微小血管再生は早産児肺障害の治療戦略となる

研究課題

研究課題/領域番号 16K10111
研究機関北里大学

研究代表者

中西 秀彦  北里大学, 医学部, 教授 (70528207)

研究分担者 北原 秀治  東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40510235)
森川 俊一  東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70339000) [辞退]
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード微小血管障害 / 慢性肺疾患 / Angiopoietin-1
研究実績の概要

本年度は、①肺胞微小循環障害に対するAng1投与の形態学的効果検討、②Ang1, Ang2, Tie2, Tie1, VEGF-A, Flt1, Flk1遺伝子の正常発達および高濃度酸素投与における経時的 (d0, 7, 10, 14, 21) 発現量の検討、③Ang1投与による同遺伝子発現量変化の検討を目標とした。
①形態学的評価: Ang1投与回復群の肺胞は、回復群と比較して肺胞構造の改善を認め、超微形態観察では血液空気関門の肥厚の改善と血管内皮細胞形態異常の改善を認めた。②経時的遺伝子発現評価: d0を基準として正常発達群におけるAng1発現量比(正常vs暴露群)は、0.78 vs 0.74(d7), 1.22 vs 1.00(d10), 2.13 vs 1.39(d14)、Tie2は、0.98 vs 0.54(d7), 1.18 vs 0.48(d10), 1.39 vs 0.54(d14)と、正常群で経時的上昇があったのに対し暴露群ではなかった。一方Ang2発現量比は、1.57 vs 5.00(d7), 3.00 vs 3.43(d10), 2.43 vs 4.43(d14)と高濃度酸素投与群では正常群を超える上昇を認めた。③Ang1投与による同遺伝子発現に対する効果: 正常発達群, 回復群, Ang1投与回復群での発現比は、Ang1(順に3.13, 2.96, 3.25), Ang2(2.07, 2.90, 2.80), Tie2(2.25, 1.89, 1.78), Tie1(3.13, 2.96, 3.25)と差はなかったが、関連遺伝子ではVEGF-A(1.56, 1.01, 1.16), Flt1(1.65, 1.07, 1.23), Flk1(0.99, 0.65, 0.74)と回復群と比較してAng1投与群で発現量の上昇がみられた。
以上よりAng1投与による肺胞微小血管系障害の形態学的改善の背景には、回復過程における関連遺伝子の発現修飾が関与している可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29年度末に研究責任者の異動があったこと、平成30年度は異動先施設において新たに動物実験のセットアップに時間を要したことから、やや予定よりも遅れて進行しているが、許容範囲内である。

今後の研究の推進方策

1.各群におけるAng1-Tie2シグナルの生化学・分子生物学的手法による動向の解析: 30年度の解析で、発達期肺障害におけるAng1、Ang2 、Tie2、Tie1、VEGF-A、Flk1、Flt1遺伝子発現の大まかな動向がわかった。次年度は、動物数を増やして、これら結果を確証していく。またAng1、Ang2、Tie2およびシグナル蛋白であるPhospho-Aktに対する特異抗体を用いたウエスタンブロット法を用いて、各群におけるこれら発現を蛋白レベルでも明らかにする。Ang1投与による関連遺伝子発現量に対する効果を詳細に検討するため、d21のみならずd17~18の時点でのVEGF-A、Flk-1、Flt-1発現量比を正常発達、回復群、Ang1投与回復群の3群間で検討する。
2.Ang-1投与による高濃度酸素障害後の肺胞構造に対する効果の形態学的解析: 正常発達群、高濃度酸素投与群、高濃度酸素暴露後回復群、Ang1投与回復群における肺組織切片から均等にサンプリングを行い、客観的に肺胞数、肺胞面積、肺胞中隔数を評価する。また超微形態観察を、内皮細胞、基底膜、上皮細胞から構成される血液空気関門や、その他肺胞Ⅱ型上皮細胞なども合わせて、これらの細胞内微小器官の変化にも注目しながら解析し、肺胞壁に存在するどの細胞が障害を受けたのか、血管を構築する細胞間のネットワークがどのように変化を受けたのかを、細胞内小器官を含めた微細構造レベルで解明する。

次年度使用額が生じた理由

次年度繰越金の発生に関しては、必要でなかったわけではなく、次年度における必要物品およびその他での使用の際に必要となることを想定したためである。
本研究では、電子顕微鏡を用いた微細構造レベルの解析が重要な位置を占める。また検索の過程においては、肺胞壁を構成する細胞群を明らかにするために、それらの可視化のための抗体をはじめとした試薬類が必須である。具体的な消耗品費としては、実験用動物( ICRマウス他)の購入費および飼育費、試薬類には、培養用血清、免疫染色用の抗体、分子組織化学用の制限酵素、プローブ標識キット、標的遺伝子プライマー、PCR用試薬、電子顕微鏡用には、樹脂包埋キット、超薄用ダイヤモンドナイフ、画像解析用のコンピューター関連品、また、プラスティック器具類、論文別刷代などの諸費用が含まれる。
その他、学外研究者との情報交換のための旅費、ならびに成果発表のための学会参加費などの旅費( 国内外を含む)、印刷費( カラー印刷)、論文投稿費用などが経費に含まれる。

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi