研究課題/領域番号 |
16K10119
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
中西 圭子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 主任研究員 (50280813)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 臍帯血幹細胞 / 移植再生医療 / 周生期脳障害 |
研究実績の概要 |
臍帯血は新生児にとって最も安全かつ臨床応用しやすい幹細胞源である。これまで我々は、臍帯血幹細胞移植が、新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)など周生期脳損傷を軽減させることを明らかにしてきた。本研究では、ラット同種移植系を用いて、臍帯血幹細胞移植による周生期脳損傷の軽減/損傷修復効果の機序を明らかにし、新規周生期脳損傷治療法として医学的分子基盤を確立することを目的としている。 GFPトランスジェニックラット胎仔臍帯血より有核細胞層を分離し、幹細胞を培養増殖(Stem cell enriched umbilical cord blood cells; SCE-UCBC)させ、HIEモデルラットに受傷3日後に腹腔内投与した。幹細胞投与9日後に、脳および脾臓の連続凍結切片を作製し、立体解析学的に評価した。 GFP染色を行ったところ、脾臓には210±106個/個体(投与した細胞の0.011%)および脾臓周囲組織には2980±1990個/個体(投与した細胞の0.15%)のGFP陽性細胞が観察されたのに対し、脳内では114±40個/個体(投与した細胞の0.0057%)の細胞しか観察されなかった。また二重染色を行ったところ、脳内のGFP陽性細胞のうち約60%がIba1陽性であった。一方、GFP/NeuroD, GFP/DCX, GFP/S100二重陽性細胞は観察されなかった。 これらの結果から、臍帯血幹細胞投与は脳内で神経細胞に分化して梗塞軽減をもたらすのではなく、宿主に対し何らかの反応をひきおこすことにより、梗塞軽減効果をもたらしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
修正論文のための追加実験に必要以上に時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
実験やデータ解析を手伝ってもらうアルバイトを雇用し、研究の遂行していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
修正論文のための追加実験に時間をとられ、アレイ解析に出すサンプル調整ができなかったため。また、年度末に採択された論文の掲載料が、次年度の支払いとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
幹細胞培養増殖させるための増殖因子・培地の購入やDNAアレイ解析の外注のための費用に使用する予定である。
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