研究実績の概要 |
2013年7月に社会問題となったロドデノール誘発性脱色素斑(以下、RD白斑)は、当該化粧品を使用したすべての人に発症しているわけではなく、発症率は使用者の約2%強であった。この発症率はこれまでに報告されてきた化学物質誘発性尋常性白斑の発症率とほぼ同様であったことから、本研究では、化学白斑発症には共通する遺伝的背景を明らかにすることを目的とした。これまでに259人(RD白斑患者147人、RD-Control 112人)について主成分分析を行い、4つの主成分、年齢、使用量を調整したロジスティック回帰モデルにより、GWASを行った。その結果、有意水準のベンチマークであるgenome-wide significance(一般的に5x10-8以下)を超えたSNPは認められなかったが、10-6をsuggestiveとして採用したところ、少なくとも3つの遺伝子(匿名にて記載:A, B, C)が該当した。そこで、2018年度は2017年度に続いて、この3つの遺伝子の機能解析を行った。特異的なsiRNAを用いたノックダウン実験については、再現性が得られなかったため、siRNA配列を作り直し、条件設定実験を繰り返したが、満足のいく結果を得るのが難しかった。その中で、遺伝子Aについては再現性のある結果を得ることができた。つまり、遺伝子Aをノックダウンすることにより、感受性が増加することが明らかとなった。この感受性の増加はこれまでに化学白斑を発症させることが報告されているMBEH、4TBP等の物質に対する感受性を有意に増加させることはなかった。また、我々がこれまでに確立したRD白斑モデルマウスを使用したぞれぞれの遺伝子産物の発現やその増減を解析したが、明らかな変化は認めなかった。
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