研究課題
皮感作食物依存性アナフィラキシーモデルマウスを用いた病態解析加水分解小麦の経皮感作による小麦依存性運動誘発性アナフィラキシーなど蛋白抗原の経皮感作によるアナフィラキシーが社会問題になっている。そこで当研究室ではOVAをパッチテストチェンバーで1週間貼付後2週間ごとに3回貼付することを繰り返し後、50mgOVAの経口投与することによりアナフィラキシー反応を誘導するモデルマウスを作成した。OVA抗原の経皮感作をしたBALB/cマウス群では、OVA特異的IgGおよびIgEの上昇を認め、経口抗原投与後に直腸温の急激な低下を認めた。これは、OVAを経腹腔内投与し感作した陽性コントロール群と同程度であり、陰性コントロール群と有意差を認めた。また、好塩基球数に関しては、両群において、皮膚だけでなく腸管組織での増加を認めた。OVA経皮感作群において、皮膚でのTSLPの発現の上昇も認めた。Ba103を惹起前に投与した群では、アナフィラキシー反応の抑制が観察されたが、コントロールIgGを前投与した群においても、部分的に反応の抑制を認めた。さらに、惹起より48時間前にジフテリア毒素(DT)を静注することで好塩基球を末梢血中より選択的に除去したMcpt8-DTRトランスジェニックマウス群においては、部分的にアナフィラキシー反応が抑制された。肥満細胞欠損(KitW-sh/W-sh)マウス群では、アナフィラキシー反応のほぼ完全な抑制を認めた。これらの結果から、惹起相では肥満細胞がない状態ではアナフィラキシー反応が起こらないが、好塩基球がない状態でも、アナフィラキシー反応が減弱することが示された。以上より、アナフィラキシー惹起反応には肥満細胞が必須であること、また好塩基球がアナフィラキシーの惹起反応に対して一部を担うことが示唆された。
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