色素性乾皮症モデルマウス(Xpaマウス)においての異常な紫外線による日焼け反応(炎症反応)がその後の髙皮膚発癌の形質に関与するかを網羅的方法により炎症関連反応遺伝子を調べた。その前提としてXpaマウスでの紫外線による炎症反応の様子を観察し、紫外線量の最適化を行った。またどの程度の範囲の広さで紫外線が曝露されれば血中の炎症反応因子が増加することも確認し、Xpaマウスでは全身だけではなく、局所の照射にても血中炎症反応因子が上昇することを確認した。その後それらで抽出された遺伝子を蛋白レベルで紫外線照射後のXpaマウスで上昇しているかを確認した。その重要な蛋白の中和抗体投与により確かにXpaマウスでは紫外線照射後の炎症反応が抑制していることを確認した。中和抗体だけではなく、さらにその炎症に強く関連すると考えられた蛋白の中和抗体を投与下で紫外線を照射するとその後の発癌抑制が認められ、Xpaマウスでの抗発癌効果を来す重要な炎症関連因子を同定し、また紫外線による炎症反応が紫外線発癌に密接に関与していることを動物実験にて証明した。それらの中和抗体だけでなく、活性酸素を抑制する抗酸化作用を含有した飼料においても同様の抗発癌効果が示され、紫外線照射によって生じた活性酸素もその後の炎症反応、そして皮膚発癌に関与していることが示唆された。これは当初紫外線による直接的なDNA損傷のみが強い炎症反応および発癌に関与すると考えられていたが、活性酸素の関与を想起させる重要な知見になると考えられた。その後、抗菌剤のボリコナゾールが光線過敏および紫外線皮膚がんを誘導させる事実から同じXpaマウスを用いて如何なる炎症因子が関わっているかを網羅的に検討し、具体的な炎症反応因子を明らかにし、成果を発表した。
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