研究課題
表皮内水疱に生じているhCAP-18の異常フラグメントの同定を行うために、無細胞タンパク質合成法にてhCAP-18合成ペプチドを作製し、水疱内容物でincubationを行った後、改めて同定を試みたところ、TLN-58を同定することに成功した。MASCOTデータベース検索により理論的に考えられうるproteinaseの候補を複数絞り込み、表皮内に産生しうるproteinaseを用いて、hCAP-18の消化実験を行ったところ、neutrophilic elastase (ELA2)が有力候補として同定された。さらにこの酵素に対するproteinase inhibitorとしてα1 antitrypsinを用いたprocessingの抑制に成功した。TLN-58合成ペプチドを作製し、LSE(living skin equivalent, 3D 培養表皮)並びに汗管由来細胞 (NCL-SG3) に対する炎症誘導能に関する評価を行った。ヒト角化細胞及びLSEにおいては特にIL-8に関してLL-37に比べてさらに強力なmRNA及びprotein expressionを誘導することが明らかとなり、このfragmentが生成されることにより、より水疱が膿疱形成への傾向に動くことがあきらかとなった。マウスモデルにこの合成ペプチドを投与して炎症性サイトカインの発現を確認したところ、in vitroの実験と同様にサイトカインmRNA及びprotein expressionが確認された。このproteinase inhibitorが治療オプションとして有望視されたが、実際にマウスモデルにおけるproteinase inhibitorによる抑制実験では、結果として接触皮膚炎を生じ、むしろ炎症惹起性の結果となり、残念ながら外用剤による抑制効果の確認はできなかった。
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