研究課題/領域番号 |
16K10130
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
東 裕子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (00381179)
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研究分担者 |
山口 宗一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20325814)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 好中球 / miRNA |
研究実績の概要 |
好中球性皮膚疾患の病態に関わる好中球の働きをmiRNAの側面から解明するために、本年度はmiRNAプロファイリングを行った。集積した好中球性皮膚疾患患者3例とコントロール疾患患者3例から倫理委員会で認定されたプロトコールにしたがって血清を採取し、患者群のカラム吸着治療前と治療後、コントロール群の3群(3群x3人=計9検体)についてmiRNAの網羅的解析を行った。解析に用いた約2500 miRNAの中で、およそ500種類のmiRNAで発現量に有意差を認めた。この中から、差の大きい5種類のmiRNAを選択して、それぞれreal time PCR (Taqman PCR)を用いて定量的に発現量を測定したところ、網羅的解析で得られた結果と同様の傾向がみられた。解析に用いた3例の患者検体の他の症例でも同様の検討を行い、好中球性皮膚疾患特異的に発現しているmiRNAや、治療効果とともに発現量が減少するmiRNAが確認できた。特に、好中球で発現が確認されているいくつかのmiRNAは、治療前に増加し治療後に減少する傾向がみられた。次年度は、本年度得られたmiRNAのデータをもとに、さらに様々な皮膚疾患について同様の検討を行っていく。また、in vitroの培養系の実験では、薬剤により好中球様細胞に分化させたHL-60を用いて、種々の炎症刺激(TNFalpha, IL-17など)を加えたのちに、同定したmiRNAが変化するかを検討していく。そのうえで、重要度の高いmiRNAの発現を細胞内で増減させて、細胞の形態変化、性状変化を調べていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miRNAの網羅的解析が終了し、好中球の機能解析へと研究が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、miRNAのプロファイリングにより数個に絞り、増減の確認作業を行った。次年度は、miRNAの網羅的解析をもとに、さらに変化するmiRNAの数を増やして検討を行う。また、乾癬のみならず、様々な皮膚疾患に対象疾患を広げて、同様の検討を行っていく。また、in vitroの培養系の実験では、薬剤により好中球様細胞に分化させたHL-60を用いて、種々の炎症刺激(TNFalpha, IL-17など)を加えたのちに、同定したmiRNAが変化するかを検討していく。重要度の高いmiRNAに関してはその発現を細胞内で増減させて、細胞の形態変化、性状変化を調べていく予定である。乾癬は、好中球の関連する病態が提示されているが、その発症機序をmiRNAの視点から明らかにすることにより、治療応用に展開できる可能性がある。
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