患者末梢血単核球に抗CD3抗体と抗CD28抗体とインターロイキン2を添加して1週間の培養し、T細胞を活性化・増殖し、磁石による抗体の除去と洗浄によるサイトカインを除去した後、この活性化リンパ球に薬疹の原因となった薬剤を添加し、薬剤添加IFN-γELISpotを行った。この結果、従来の薬剤添加IFN-γELISpotにくらべ活性化リンパ球を用いた薬剤添加IFN-γELISpotは、原因薬剤特異的なIFN-γ産生をより高率に検出できることがわかった。T細胞を抗原非特異的に活性化させることにより、薬剤非特異的なIFN-γ産生が誘導される症例があったが、原因薬剤を添加した際のIFN-γ産生は、これよりも明らかに多く、判定基準の工夫により、その影響を除いて検出できる可能性が示唆された。これにより原因薬剤を検出する上での感度を向上させ、現在臨床で用いられるDLSTにかわるより有用な次世代の原因薬検査法として有用である可能性が示唆された。原因薬剤が明らかな症例において従来の薬剤添加IFN-γELISpotの陽性率よりも、活性化リンパ球を用いた方法では陽性率の方が高かった。ただし、従来の薬剤添加IFN-γELISpotは培養時間を24時間から48時間へ変更することで、陽性率の向上がみられた。さらに、薬剤添加による細胞内カルシウム流入をフローサイトメトリーで計測する方法として、末梢血単核球を用いてFluo-3-AMと Fura-Redを用いて、T細胞の活性化を検討をおこなった。またT細胞表面マーカーを染色した細胞において細胞内カルシウム流入をフローサイトメトリーで計測できるか検討を行った。T細胞を非特異的に活性化することで細胞内カルシウム流入を計測することはできたが、薬剤特異的なT細胞は細胞数が極めて少ないため、非特異的な細胞内カルシウム流入と区別して検出するための技術的な改良が必要である。
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