研究実績の概要 |
線状IgA水疱性皮膚症は自己免疫性表皮下水疱症の一種であり、蛍光抗体直接法で基底膜部にIgAが線状に沈着する。しかし、その抗原多様性が病態解明を困難にしている。 線状IgA水疱性皮膚症では蛍光抗体直接法でIgGの沈着が認められなくても、蛍光抗体間接法、表皮抽出液、真皮抽出液、BP180NC16aリコンビナントタンパク、BP180C末端、HaCaT培養上清、Laminin332を用いた免疫ブロット、BP180NC16a、BP180C末端、BP230のIgG ELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)でIgG抗体が検出されることがある。対象サンプルすべてについて、蛍光抗体間接法、免疫ブロット、ELISAをIgAだけでなくIgGについて網羅的に行い、約100名の線状IgA水疱性皮膚症の血清について、IgG抗体の検出される群と、IgA抗体のみが検出される群に分けた。また、この結果を論文発表した(Ohata C, et al. Br J Dermatol 2016 Dec)。 近年、水疱性類天疱瘡でIgE抗体の関与が指摘されている(Ma L, et al. J Dermatol Sci 2015, Moriuchi R, et al, J Dermatol Sci 2015)。線状IgA水疱性皮膚症において、IgE抗体はこれまでに検討されたことがないため、関連性を明らかにするために、IgEを用いた蛍光抗体間接法および表皮抽出液、真皮抽出液、BP180NC16aリコンビナントタンパク、BP180C末端、HaCaT培養上清、Laminin332を用いたIgEの免疫ブロット、そして、BP180NC16a、BP180C末端、BP230のIgE ELISAを行った。その結果、BP180NC16a、BP230、BP180C末端に対するIgE抗体を有する症例が2-8%見られた。IgEの蛍光抗体間接法は32%で陽性であった。
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