研究課題/領域番号 |
16K10140
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
西澤 綾 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 皮膚科, 講師 (30431456)
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研究分担者 |
山崎 直也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (70501873)
田原 信 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (50523198)
佐藤 貴浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 皮膚科学, 教授 (30235361)
石川 貴裕 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 皮膚科学, 助教 (60782985)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 手足症候群 / マルチキナーゼ阻害剤 / レゴラフェニブ / ソラフェニブ / 塩化アルミニウム / 被覆材 / 発汗 |
研究実績の概要 |
多種あるマルチキナーゼ阻害剤のなかで、分子構造が似ており、臨床像、経過が類似するレゴラフェニブおよびソラフェニブの2薬剤での単群 非ランダム化での臨床試験を行う計画をたてる。本試験の目的は、薬剤投与によって生じる手足症候群の発現を、塩化アルミニウム軟膏という発汗を抑制する軟膏を投薬1週間前より外用し手足の発汗を抑えることで重篤な手足症候群の発現を抑えられるか検討する。手足症候群Grade 1発現後は被覆材も併用し進行を抑えることである。対象はレゴラフェニブ、ソラフェニブを投与される大腸癌、GIST、肝細胞癌患者の患者で、当該薬を標準的容量で投与開始予定の、同意取得年齢が20歳以上、PS 0-1とする。観察期間は12週に設定する。今年度は研究計画書の作成、データセンターと契約をし、データの管理、eCRFの作成を依頼する打ち合わせを行い、以下内容で施設内倫理委員会審査に提出し承認を得た。現在登録患者調整中である。 ・Primary endopoint:Grade 3以上の手足症候群の発現率 ・期待値:10%(レゴラフェニブでは国際共同第III相臨床試験での手足症候群Grade 3の発現率 28%、ソラフェニブは肝細胞癌の国際共同第III相臨床試験でGrade 3の発現率が28%であったことより、閾値を30%とし、その60%削減を期待し設定。) ・目標症例数:16例(閾値30%、期待値10%、片側有意水準10%、症例数16例であると、検出力は78.9%と計算され、16例中2例以下であると統計学的に有意)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は臨床試験にむけてのプロトコール、院内の体制づくり、データセンターとの契約を行い、院内での倫理員会での審査の準備をすすめた。まず、倫理員会の審査で問題となったのが、塩化アルミニウムの扱いである。塩化アルミニウムは多汗症治療薬としてガイドライン上は第一選択薬であり、一般的に皮膚科で用いられているが、保険適応薬剤ではなく、処置薬となり、院内製剤されるものとなっている。医薬品ではないが、未承認医薬品としての対応に準じて進める必要があり、4月より改定となった、特定臨床研究法に該当するものに準じた扱いでの計画書作成調整が必要となった。そのため、厚生省、都道府県の薬務課に出向し、塩化アルミニウムの使用につき調整を行い、 臨床研究に関わる損害保険等に加入、外部でのデータセンター設置、モニタリング、監査の設置、院内での薬剤保管、調剤体制の完備を行うこととし、院内倫理委員会の承認を得ることができた。レゴラフェニブ、ソラフェニブを投与する科である、消化管外科、肝胆膵外科に臨床試験の説明、登録方法などの打ち合わせを行い、今後症例を集積していく予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
現在レゴラフェニブ又はソラフェニブを投与する大腸癌、GIST、肝細胞癌患者の患者で臨床試験参加該当者を、前勤務先(現在も研究責任者で、分担責任者を防衛に2名依頼)で集めている。 今年度は、4月より赴任したがん研有明病院においても同じく倫理員会に提出し承認を得て、多施設での試験としていく予定である。 さらに、マルチキナーゼ阻害剤のレンバチニブにおいても現在プロトコール調整中であり、こちらもがん研有明病院との多施設での臨床試験を組めるように計画書を作成していく。 両方の試験(レゴラフェニブ又はソラフェニブ、レンバチニブでの単アームでの臨床試験)が終了し、各臨床試験のヒストリカルデータでの手足症候群の発現率と比較し有効性が確認できた際には、将来的に対象症例、施設を増やし、二重盲検での比較試験の施行を検討しさらに検討をすすめていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年後、29年度は臨床試験をくみたてるためのプロトコールづくり、およびデータセンターとの契約する段階までであったため使用額に差が大きくでている状態である。今年度は臨床試験がスタートとなるため契約金含め人件費等に費用がかかり収支のバランスは取れるようになると予想される。
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