①後天性表皮水疱症(EBA)マウスモデルを用いてTh17細胞の関与を明らかにする。 ヒト化COL7マウス(マウスCOL7-、ヒトCOL7+)の樹立は、交配過程で育児放棄が続き絶滅したため樹立は中断した。以降の実験は、代用案として考えていた野生型マウス(C57BL/6マウス)を用いておこなった。大腸菌作成のマウス7型コラーゲン(NC1ドメイン)を用いて免疫をしたマウスは、TiterMaxアジュバントを用いた皮下免疫法は、免疫後2-4週でELISA法および蛍光抗体法にて抗体産生が確認できた。一方、イミキモドの連日塗布で皮膚炎を起こした部位に経皮免疫をする方法では、免疫後8週まで経時的に観察しても抗体産生は確認できない。マウス体内をTh17細胞環境にするためイミキモドを塗布した状態で、マウスにアジュバントと共に皮下免疫した場合には、抗体価がむしろ低下した。自己抗原ではない外来抗原であるOVAで同様の実験をうと、一部のマウスでは抗体産生が得られた。 ②乾癬に合併した自己免疫性水疱症の解析 過去の当科における乾癬と自己免疫性水疱症の合併例を検索したところ、乾癬の0.6%に類天疱瘡が合併、一方、類天疱瘡の0.25%に乾癬が合併していた。類天疱瘡の発症は、明らかに健常人より高頻度であることが証明された。研究実施期間中に、乾癬患者に自己免疫性水疱症が合併した患者は1名のみであり、抗IL-17製剤による治療は行えずステロイドの加療を行った。そのため、抗IL-17製剤の類天疱瘡に対する効果は期内に検証できなかった。
|