研究課題/領域番号 |
16K10143
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤村 卓 東北大学, 大学病院, 講師 (50396496)
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研究分担者 |
神林 由美 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50755303)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 腫瘍随伴性マクロファージ / 免疫チェックポイント阻害薬 / 悪性黒色腫 / 治療 / 免疫関連副作用 |
研究実績の概要 |
本研究は腫瘍随伴マクロファージをターゲットとした新規悪性黒色腫治療法の開発を目的として、マウスと人の細胞を用いて研究を行った。 本年度は、前年度施行した、ニボルマブ、IFNb併用療法の臨床応用を目的とした医師主導臨床研究より得た、pilot studyの結果を基として、ニボルマブによるimmune-related adverse events (irAE)の発症予測システムを、腫瘍随伴性マクロファージ関連物質であるsCD163と関連ケモカインを用いて施行した。この研究では根治切除不能悪性黒色腫46症例を用いて、統計解析を行った結果、sCD163の変動率がニボルマブ使用患者におけるirAEの発症予測因子となることを明らかにした。この結果は、PCT/JP2017/ 24244として2017/6/30に国際出願したのちにOncotarget (2018, in press:IF=5.168) に成果として掲載した。その他、これまでに腫瘍随伴性マクロファージ関連の論文をFrontier in Oncologyにreviewとして掲載した。さらに悪性黒色腫に対する古典的抗がん剤であるダカルバジン、ニドラン、ビンクリスチンの腫瘍随伴性マクロファージに与える影響を検討し、その結果を、2018年にExperimental Dermatology(IF=2.532)に掲載した。以上、本年度の研究成果は、黒色腫における新規免疫療法の開発の基礎データと臨床データともに獲得できたこと、黒色腫にとどまらず腫瘍随伴マクロファージをターゲットとした治療法と臨床現場で問題となっている免疫チェックポイント阻害薬によるirAEの予測システムを開発するなど、臨床に直結する結果を多数得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、前年度施行した、ニボルマブ、IFNb併用療法の臨床応用を目的とした医師主導臨床研究より得た、pilot studyの結果を基として、ニボルマブによるimmune-related adverse events (irAE)の発症予測システムを、腫瘍随伴性マクロファージ関連物質であるsCD163と関連ケモカインを用いて施行した。この研究では根治切除不能悪性黒色腫46症例を用いて、統計解析を行った結果、sCD163の変動率がニボルマブ使用患者におけるirAEの発症予測因子となることを明らかにした。この結果は、PCT/JP2017/ 24244として2017/6/30に国際出願したのちにOncotarget (2018, in press:IF=5.168) に成果として掲載した。その他、これまでに腫瘍随伴性マクロファージ関連の論文をFrontier in Oncologyにreviewとして掲載した。さらに悪性黒色腫に対する古典的抗がん剤であるダカルバジン、ニドラン、ビンクリスチンの腫瘍随伴性マクロファージに与える影響を検討し、その結果を、2018年にExperimental Dermatology(IF=2.532)に掲載した。以上、本年度の研究成果は、黒色腫における新規免疫療法の開発の基礎データと臨床データともに獲得できたこと、黒色腫にとどまらず腫瘍随伴マクロファージをターゲットとした治療法と臨床現場で問題となっている免疫チェックポイント阻害薬によるirAEの予測システムを開発するなど、臨床に直結する結果を多数えており、当初の予定を超えるペースで研究が進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、獲得したPCT/JP2017/ 24244およびOncotarget (2018, in press:IF=5.168) に成果として掲載した内容に基づき、これらの結果からさらに発症臓器の予測ができるシステムを腫瘍随伴性マクロファージ関連ケモカインの中で、特に悪性黒色腫に豊富であるストローマ・タンパクであるペリオスチンの刺激で増加することが予測されるケモカインを中心にさらに解析を進めること、ペリオスチンの上昇する原因として、aryl hydrocarbon receptorのリガンドである真菌など皮膚常在菌等環境因子の関連を網羅的に調べることを中心に行う。また、悪性黒色腫の患者検体の中で、実際にこれらケモカインが組織と血清の双方で上昇していることを確認し、これらが様々な治療によりどのように変化していくかを計時的に解析する。 また、悪性黒色腫の腫瘍環境で得た情報が、他の皮膚がんである有棘細胞癌や皮膚T細胞リンパ腫、乳房外パジェット病など致死的な腫瘍での動向を解析し、今後の臨床現場における治療法の選択の一助とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度3月に購入した物品の請求が遅れ4月をまたいだため。
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