研究課題
本研究では、はじめに各種免疫賦活薬の悪性黒色腫腫瘍内の腫瘍随伴性マクロファージ(Tumor-associated macrophages: TAMs)に対する影響を検討する。また、これら薬剤の腫瘍の免疫環境への影響をDNA microarrayで検証した。その結果、Imiquimodやインターフェロンなど複数の免疫調整因子がTAMsを介して免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果を増強することがマウスB16F10黒色腫モデルで明らかとなった。また、これらTAMsの産生するケモカインの中で、CCL22が腫瘍内抑制型免疫環境の形成に重要であることを明らかにした。他にもケモカインで、エフェクター細胞の腫瘍内への遊走に関与するCXCL9, CXCL10, CXCL11、Th17の腫瘍内への遊走に関与するCCL20, CXCL5など各種ケモカインが腫瘍の増殖に密接に関与していることが明らかになりつつある。更に、マウスでTAMsの活性化が免疫チェックポイント阻害薬である抗PD1抗体の治療効果の予測因子になりうることを解明した。それゆえ、ヒトにおけるTAMsの活性化マーカーであるsCD163に注目し、悪性黒色腫患者におけるTAMsの活性化状況を抗PD1抗体で治療した悪性黒色腫患者の治療前後で検討した。その結果、最終的にヒトTAMsの活性化指標であるsCD163により、3ヶ月目における抗PD1抗体による根治切除不能悪性黒色腫の治療効果を治療開始6週目で85%の感度、87%の特異度で予測できることを明らかにした。この結果は、英国研究雑誌Frontiers in Oncologyに掲載された他、プレスリリースでは日経新聞、読売新聞をはじめ6社に掲載された。また、本案件を特願出願を行った(特願2018-215880:免疫チェックポイント阻害薬の治療効果予測方法)。
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