二次性原発性メラノーマのダーモスコピー所見と遺伝子解析を行うために、切除不能なBRAFV600変異を伴うメラノーマの症例に対して、BRAF阻害剤投与開始に際して、治療前後の色素性母斑を臨床写真の撮影および高解像度のデジタルダーモスコピー撮影を1~2か月毎に行なった。ダーモスコピーの所見の評価としては、10所見(大きさ、色素沈着の強さ、限局した色調の変化、dotsの出現・消退、ネットワーク構造の変化、濃い色調の無構造領域の新生、表面の角化傾向、パターンの変化、病変の対称性、血管所見の変化)につき評価を行ない、増大傾向や明らかな所見の変化があれば、新たに原発性として生じた二次性原発性メラノーマ(second primary melanoma)を疑う病変として、変化のない色素性母斑をともに切除した。各組織をホルマリン固定を行い、HE染色と免疫染色(HMB45染色、Melan-A染色、S100染色、Mib-1染色など)を行い、メラノーマか否かの判定を行った。二次性原発性メラノーマを疑い、診断に至った症例は見られなかった。ただし、今後も該当症例があればV600E遺伝子の発現の有無の確認を行う。その後切除した両者および一次性原発性メラノーマはHE標本を参考に、未染色のパラフィン切片からレーザーマイクロダイジェクションを用いて、メラノーマの部位の遺伝子解析を行い、各々にみられる遺伝子異常を同定し、これらの遺伝子異常を比較し、二次性原発性メラノーマにおける新たなドライバー遺伝子発現の有無および、同遺伝子の機能解析を行ない新たな治療のターゲットとなりうるかを調べる予定である。またメラノーマの早期の検出技術を向上させるため、メラノーマのダーモスコピー診断に関する種々の所見についての解析結果を国内外で学会報告を行い、また関係する論文報告を行った。
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