研究課題/領域番号 |
16K10150
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
宇原 久 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40201355)
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研究分担者 |
芦田 敦子 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (00596786)
奥山 隆平 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80292332)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リキッドバイオプシー / RNA / メラノーマ / BRAF |
研究実績の概要 |
血漿中のRNAの抽出方法を確立するために、Plasma/Serum RNA Purification Maxi Kit(Norgen Biotek社)を用いて健常人血漿サンプルからRNAを抽出した。2例の健常人血漿サンプル2mlから50uLのRNA溶液を抽出した。抽出されたRNAは微量のため、分光光度計では測定不能で、QuantiFluor174(商品名); RNA Systemによる蛍光測定法で定量した。2例の血漿RNAは0.50ng/uLと0.59ng/uLだった。
微量のRNAから効率よくcDNAを合成するためにiScript cDNA Synthesis Kitを用いて検討した。予備実験として、BRAFV600E変異を持つメラノーマ培養細胞A375とBRAF変異のないメラノーマ培養細胞mel2を用いた。培養細胞のRNAからiScriptを用いて、逆転写を行った。培養細胞のRNA溶液内のゲノムのコンタミネーションの有無を確認するため、反応溶液中に逆転写酵素を含めたサンプルと含めないサンプルを用意し、同じプロトコールで反応させた。両方のサンプルをdroplet digital PCRで定量したところ、酵素を含まないサンプルでも、A375ではBRAFV600E変異DNAが、mel2ではBRAFwild DNAがそれぞれ微量に含まれており、その割合は転写酵素入りのcDNA合成されたサンプルと比較し0.665%と0.621%だった。このように、RNA溶液中にゲノムDNAが含まれているものの、その量はごくわずかであることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微量のRNAを抽出するための方法を確立し、その際のゲノムDNAは微量であることを確認した。また、健常人の血漿中に含まれるRNA量を計測した。以上より、当初の計画通り、プロトコル作成のための基礎的実験が順調に終了した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は培養細胞を用いた予備実験を行う予定である。メラノーマ培養細胞由来のRNAを用いて、thyrosinase、MART-1、gp100、TRPの4つの分子の発現を確認する。また、それらの分子が濃度を希釈した微量のRNA中からも同定可能か解析する。これらのデータをもとに、患者血漿サンプルの解析を予定していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属施設変更に伴う、研究の一時的中断による。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画書通り、次年度は実際にヒト検体を用いた検討に入るため、研究に用いる消耗品費および検体採取と送付、研究打ち合わせ費の増加が予想されるため、次年度予算に上乗せして適切に使用する。
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