研究課題/領域番号 |
16K10153
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
藤本 徳毅 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50378460)
|
研究分担者 |
小笠原 一誠 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20169163)
田中 俊宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50188314)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 天疱瘡 / 類天疱瘡 / 抑制性 / IL-10 / B10細胞 |
研究実績の概要 |
天疱瘡、類天疱瘡患者の末梢血中のIL-10を産生するB細胞(B10細胞)を健常人と比較したところ、天疱瘡患者ではB10細胞の比率が健常人と比較して有意に低いことが判明した。一方、類天疱瘡患者に関しては、健常人と差がなかった。しかし、抑制性B細胞のフェノタイプとして報告されているCD24hiCD38hiB細胞の比率に関しては、天疱瘡患者では健常人と比較して有意に高く、類天疱瘡患者では健常人と差がなかった。そこで、天疱瘡患者のB10細胞に関してさらに検討した。天疱瘡の疾患重症度とB10細胞の比率とには相関がみられなかった。しかし、B10細胞の比率は、天疱瘡の治療に伴い回復することが分かった。また、天疱瘡の治療に高用量のステロイド(プレドニゾロン0.5mg/kg以上および免疫抑制剤などの追加治療)を要した群と、低用量のステロイド(0.5mg/kgのプレドニゾロンのみ)で治療できた群のB10細胞を比較すると、高用量のステロイドを要した群の方が有意にB10細胞の比率が低いことが判明した。さらに、種々のB細胞表面抗原を染色して、IL-10を産生するB細胞分画に関して検討したところ、天疱瘡患者ではCD9陽性細胞およびCD27陰性細胞におけるIL-10産生細胞の比率が、健常人と比較して減少していることが分かった。以上のことから、自己免疫性水疱症においては、類天疱瘡ではなく天疱瘡においてB10細胞が関与しており、CD9陽性B細胞やCD27陰性B細胞のIL-10産生低下が、天疱瘡の病因に関与していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト自己免疫性皮膚疾患におけるB10細胞の関与に関しては、自己免疫性水疱症の検討が順調にすすんでいる。しかし、他の疾患に関してはまだ検討が終わっていない。 天疱瘡患者においてCD9陽性B細胞のIL-10産生が低下しているということが判明したため、CD9に着目した抑制性B細胞の新たな研究の展開が開けてきている。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト自己免疫性皮膚疾患におけるB10細胞の関与に関しては、引き続き自己免疫性水疱症以外の疾患に関して検討を進めていく。 抑制性B細胞に関しては、ヒト、カニクイザルにおいて、CD9やIL-21の関与に関して検討を進めていく。 抗マウス基底膜モノクローナル抗体を用いた自己免疫性水疱症モデルマウスにおける、抑制性B細胞の関与に関して検討していく。 抗サル基底膜モノクローナル抗体を作製し、自己免疫性水疱症モデルサル樹立する。
|