研究課題/領域番号 |
16K10154
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
種村 篤 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50457016)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 尋常性白斑 / T細胞アナジー / 皮膚resident T細胞 |
研究実績の概要 |
全身に汎発する尋常性白斑の病態は未だ明らかにされておらず、特に生体メラノサイトに対する自己免疫の詳細な関連機序の解明は、有効な治療開発のためにも 急務である。本研究で我々は、白斑症例からの末梢血および白斑皮膚病変両面の検体を用いて新しい細胞性・液性免疫応答やサイトカインバランス不均衡を網羅 的に解析する。特に、機能的制御性T細胞を分画化し、メラノサイト特異的細胞障害性免疫に対する抑制機能を経時的に観察する。 Melan-A特異的CD8 T細胞での免疫チェックポイント分子やエフェクター・メモリー分画解析を行い、白斑症例の末梢血でT細胞アナジーの破綻を示唆する発現 マーカーの変化を海外論文に発表した(Tanemura A, et al. Dysregulation of circular antigen-specific T cells anergy in autoimmune vitiligo. JCDSA 2018) その結果を踏まえ、さらに検体数を増やし、病勢・重症度など臨床データと照合し統計的相関を解析することで、バイオマーカー探索に繋げる。 さらに、末梢血T細胞と白斑皮膚に局在するresident T細胞との特長の相同性・差異性を検証し、病変局所の環境の重要性を検討する。ヒト検体より得られた結果をもとに、動物モデルを用いた研究でも再現できるか検証し、治療介入前後の変化も併せて吟味する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Melan-A特異的CD8 T細胞での免疫チェックポイント分子やエフェクター・メモリー分画解析を行い、白斑症例の末梢血でT細胞アナジーの破綻を示唆する発現 マーカーの変化を海外論文に発表した(Tanemura A, et al. Dysregulation of circular antigen-specific T cells anergy in autoimmune vitiligo. JCDSA 2018) 当初の予定より進捗がやや遅れている理由として、以下が挙げられる:・解析白斑症例数を増やすのに時間を要している。・白斑皮膚に局在しているresident T細胞の単離・役割解析についても進めており、時間を要している。・in vitro解析は順調に進んでいるが、化学物質誘発白斑モデルマウスを用いたin vivo解析に想定以上の時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
・T細胞解析では、特に皮膚局所に浸潤するresident T細胞に着目し、その特徴的な表面マーカーの発現も併せて解析することで、circulatingだけではなくresident細胞のアナジー・活性化状態も評価する方針である。 ・化学物質誘発白斑モデルマウスを用いて、末梢血および化学誘発白斑皮膚両方向でのT細胞解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
・2018年6月18日に発生した大阪府北部地震において研究室が被害を受け、当初使用予定であった試薬などの破損や実験に関する書類が散乱したため、再設備に時間を要した。 ・in vitro解析は順調に進んでいるが、化学物質誘発白斑モデルマウスを用いたin vivo解析に想定以上の時間を要している。
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