研究課題
mTORC1が恒常的活性する結節性硬化症(TSC)ではてんかん、自閉症、認知障害、発汗、疼痛、白斑など様々な症状を生ずるが、その機序は不明であった。カルシウムイオン(Ca2+)は、細胞内情報伝達物質の1つで、神経伝達物質やホルモンの放出、細胞電位の調節、転写、細胞の分化や増殖、小胞の輸送、発汗、痛み調節など種々な作用を有している。この細胞内Ca2+濃度調節に関与するCa2+チャネルが、てんかん、自閉症、認知障害、などの精神神経症状や、発汗や痛みの病態に関与することが報告された。小胞体膜のCa2+チャネルは、IP3(イノシトール3リン酸)受容体で調節され、リガンドのIP3は、PI3K(PI3キナーゼ)により産生される。PI3Kは細胞膜でPIP3を産生し、mTORの活性化に関与する事。そこで、 TSCの神経症状と皮膚症状は、いずれもIP3受容体を介したCa2+チャネルという共通の機構の異常でおこると考え、発汗や痛みと精神神経症状を統合するmTORの新規Ca2+チャネル調節機構の解明を考えた。正常コントロールマウスと自閉症を呈するTSCのモデルマウス及び白斑と行動異常とてんかんを呈するTSCのモデルマウスを用いて疼痛刺激、アセチルコリンによる発汗刺激時のマウスの脳の活性状態をマウスのMRIを用いて比較検討し、これらの反応がmTORC1の阻害剤のシロリムス投与で軽快するかを検討した。さらに、Si-TSC1,TSC2ノックダウン神経細胞やアストロサイト、線維芽細胞、色素細胞を用いて細胞レベルでの刺激時及びシロリムス投与時のCa2+の流入の比較検討を行った。その結果TSC モデルマウス、TSCモデル神経細胞では正常に比して活性化(Ca2+の流入)がおこっているのみならず、ミトコンドリアの酸化ストレも亢進しており、それらの異常がシロリムス投与により改善されることが確認できた。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 2件、 査読あり 14件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
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