遺伝性疾患の結節性硬化症(TSC)ではmTORC1の恒常的な活性化により中枢神経系と皮膚に様々な病変を生ずる。細胞に不変的に存在するイノシトール3リン酸(IP3)受容体を介したCa2+チャネルの異常が、皮膚と中枢神経系におけるTSCの共通病態と考え、白斑や発汗・痛覚異常と同時にてんかんや行動異常を呈するTSCモデルマウスを用いて、mTORC1の新規Ca2+チャネル調節機構の解明を試みた。白斑とてんかん、行動異常を起こすモデルマウスの色素細胞や神経細胞では、Ca2+濃度の異常のみならず、ミトコンドリアの酸化ストレスが増加していた。これらの異常はmTORC1阻害剤のシロリムス投与により改善した。
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