研究課題
我々はこれまでに、本邦における獣肉アレルギー患者が交差反応のために抗悪性腫瘍薬のセツキシマブ、カレイ魚卵にアレルギー症状を示すことを報告した。獣肉アレルギーとセツキシマブアレルギーの原因抗原エピトープは、これらのタンパク質に結合する糖鎖galactose-α-1,3-galactose(α-Gal)であることが既に報告されている。また、我々の臨床的解析では、獣肉アレルギー患者の多くが、アニサキスアレルギー、蜂毒アレルギーを発症しており、これらの交差反応について検討を行った。ウェスタンブロット法による交差試験や、過ヨウ素酸処理による糖鎖構造の関与についての検討を行った結果、獣肉とアニサキス、蜂毒に交差反応を証明することはできなかった。つまり、交差試験によって獣肉アレルゲンとアニサキスや蜂毒のタンパク質(糖鎖を含む)の交差反応を証明することはできなかった。また、アニサキスアレルギー、蜂毒アレルギー患者の血清中IgEのこれらのタンパク質(糖鎖を含む)への結合は、過ヨウ素酸処理によって減弱、消失しなかった。しかしながら、本研究にて、獣肉アレルギーに交差反応するカレイ魚卵アレルギーの原因アレルゲンを同定した。カレイ魚卵のアレルゲンは、獣肉アレルギーの主要なアレルゲンであるα-Galそのものではなかったが、やはり交差する構造を有する糖鎖の関与が明らかとなった。これは、生物種を超えた交差アレルギー反応と考えられる。現在、カレイ魚卵のアレルゲンの同定についての論文を投稿予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
Allergology International
巻: In press ページ: In press
In press