研究課題/領域番号 |
16K10159
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
久保 宜明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (10260069)
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研究分担者 |
松立 吉弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (80622729)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 表皮細胞 / リプログラミング / 腫瘍化プロセス / 日光角化症 / ボーエン病 |
研究実績の概要 |
表皮細胞の腫瘍化には一般の癌と同様に多段階発癌機構が関与していると考えられるが、1つの腫瘍において個々の細胞クローンは決して単一ではなく、腫瘍内不均一性があることがわかってきた。腫瘍内不均一性は、外科的に切除不能な癌の根治が困難な主要因であり、その機構の1つとして表皮細胞のリプログラミングが考えられる。また、表皮細胞の腫瘍化プロセスにおいて、腫瘍の起源となる細胞は幹細胞である可能性が高いと考えられるが、幹細胞と完全に分化した細胞の中間の、単分化能を持つ前駆細胞(committed progenitor cell; CP細胞)がリプログラミングしている可能性もある。本研究では病理組織学的見地から、日光角化症(AK)を幹細胞由来の表皮内癌、ボーエン病(BD)をCP細胞由来の表皮内癌と仮定し、表皮細胞のリプログラミングに関与する分子の同定を試みる。AK/BDの凍結各2サンプルを選び、角化傾向の強い部分や厚い痂皮を付着する部分を避けて、ほぼ同じ厚さとなるように真皮下層や脂肪組織を取り除き、計4サンプルを化学物質評価研究機構へ提出した。サンプルからタンパク質を抽出、酵素消化を行った後、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS: liquid chromatography/mass spectrometry)を用いた解析によって、計701個のタンパク質を同定した。AK/BD 2サンプル間でタンパク質の定量比較解析を行い、AKで高発現する12個のタンパク質とBDで高発現する12個のタンパク質を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析にふさわしいサンプルの準備に時間がかかり、現在、AK/BDサンプル間でのタンパク質定量比較解析で、AK、またはBDで高発現する各12個のタンパク質を同定したところである。今後、その中で注目するタンパク質を選出し、AKとBD組織においてタンパク質の発現を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
AK、またはBDで高発現する各12個のタンパク質に関し、複数の解析ソフトを用いて表皮細胞のリプログラミングや腫瘍化に重要と考えられるタンパク質を選出し、それらに対する抗体を入手する。まず質量分析に用いたAK/BD各2サンプルにおいて免疫染色を行う。発現を確認できたタンパク質については、他のAK/BDサンプルにおいても免疫染色を行い、タンパク質発現の程度や発現細胞・部位などを詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
化学物質評価研究機構での解析費用の請求書が計画年度内に届かなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
化学物質評価研究機構での解析費用として次年度の物品費を使用する。
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