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2017 年度 実施状況報告書

Mowat-Wilson症候群の原因遺伝子ZEB2のコラーゲン合成経路への関与

研究課題

研究課題/領域番号 16K10163
研究機関高知大学

研究代表者

寺石 美香  高知大学, 医学部, 研究員 (40437736)

研究分担者 高石 樹朗  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10303223)
中島 喜美子  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (20403892)
佐野 栄紀  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (80273621)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードMowat-Wilson症候群 / コラーゲン合成 / ZEB2
研究実績の概要

前年度では、モワット・ウィルソン症候群(MOWS)患者に皮膚の過進展、関節の過屈曲、皮膚萎縮性瘢痕など、遺伝性結合組織疾患であるエーラス・ダンロス症候群(EDS)の患者に似た症状を確認した。それらの症状は、MOWSの原因遺伝子であるZEB2遺伝子を真皮などで欠損させたマウス(ZEB2ノックアウトマウス)においても再現されていた。
今年度では、MOWS患者とZEB2ノックアウトマウスの真皮コラーゲン線維の構造、線維芽細胞の機能について、相同性の有無を確認した。生検皮膚組織の電子顕微鏡検査では、コラーゲン線維径の小型化が、MOWS患者、ZEB2ノックアウトマウスのいずれにおいても同様に見られた。ZEB2遺伝子異常がコラーゲン合成系に何らかの障害をもたらしていると考え、ZEB2ノックアウトマウスの真皮線維芽細胞での遺伝子発現の変化を、DNAマイクロアレイで解析した。結果、数種のコラーゲン遺伝子やTimpファミリー、EDSなどの結合組織疾患に関与するAdamts2やFbn1、Fbn2などがZEB2ノックアウトマウス線維芽細胞で発現が低下していた一方で、コラーゲンを分解するMmpファミリーが増加していた。リアルタイムPCR法でもマイクロアレイの結果と同様、Col1a1やTimp2、Adamts2の発現が低下し、Mmp13の発現が増加していた。更にウェスタンブロット法でもⅠ型コラーゲン量の低下とMmp13の著しい増加を認めており、ZEB2ノックアウトマウスではコラーゲン合成の低下とコラーゲン分解の亢進がみられているものと考えた。
以上の結果を論文化し、Scientific Report誌に掲載された (論文リストを参照。Sci Rep. 2017 Apr 19;7:46565. doi: 10.1038/srep46565)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

MOWS患者および作製したモデルマウスの皮膚で、電子顕微鏡検査による超微細構造の異常を指摘できた。また、モデルマウスの皮膚線維芽細胞を用いて、Zeb2欠損によるコラーゲン合成系への影響を、マイクロアレイ、リアルタイムPCR法、ウェスタンブロット法を用いて解析し、DNA、RNA、タンパク質レベルのどの段階においても、コラーゲンの合成低下と分解亢進がみられることを示すことができたことなどは、順調に進行していると言って良い点である。
一方で、稀少疾患であるMOWS患者において真皮の採取など侵襲的な検査を行うことができる患者が限られており、モデルマウスで得られた結果との相同性が十分に検討できていないことが課題として挙げられる。

今後の研究の推進方策

モデルマウスの解析は順調に進行している。引き続き、ご協力頂けるMOWS患者より皮膚組織から真皮線維芽細胞の採取を行い、マウスで得られた結果との相同性を検討し、統計学的な解析を重ねていく。
また、これまでの研究結果からは、ZEB2が真皮のコラーゲン線維の恒常性に必要であることが示唆されているが、実際にどのように寄与するかについてのメカニズムが不明である。ZEB2ノックアウトマウスの線維芽細胞を用いた遺伝子等の解析ではコラーゲン合成系よりも分解系の変化が顕著であることがしめされた。今後、他の結合組織疾患の遺伝子変化と症状を参考に、ZEB2のコラーゲン合成系への関与を明確にしていきたい。

次年度使用額が生じた理由

(理由)次年度に購入予定の試薬の種類が多いため。
(使用計画)実験試薬購入。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Critical involvement of ZEB2 in collagen fibrillogenesis: the molecular similarity between Mowat-Wilson syndrome and Ehlers-Danlos syndrome2017

    • 著者名/発表者名
      Teraishi Mika、Takaishi Mikiro、Nakajima Kimiko、Ikeda Mitsunori、Higashi Yujiro、Shimoda Shinji、Asada Yoshinobu、Hijikata Atsushi、Ohara Osamu、Hiraki Yoko、Mizuno Seiji、Fukada Toshiyuki、Furukawa Takahisa、Wakamatsu Nobuaki、Sano Shigetoshi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: ー

    • DOI

      10.1038/srep46565

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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