研究課題/領域番号 |
16K10164
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
成澤 寛 佐賀大学, 医学部, 教授 (60164498)
|
研究分担者 |
永瀬 浩太郎 佐賀大学, 医学部, 助教 (30549077)
井上 卓也 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50380754)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | メルケル細胞癌 / 疫学 / 臨床病理学的特徴 / メルケル細胞ポリーマウイルス |
研究実績の概要 |
本邦におけるメルケル細胞癌(Merkel cell carcinoma:MCC)の実情については、症例報告はあるものの、欧米と比較しうるものは無い。その最大の要因としては欧米では既に制度化されている登録制度が本邦にないたである。そこで本邦におけるMCCの症例報告を、PubMEDおよび医学中央雑誌から論文・会議録の収集を行い、慎重に重複例を削除し、データの集計が完了し、調査項目毎に統計処理を行い、欧米のデータとの比較を行い、考察の段階に来ている。次に、自験例24例の解析により、臨床的にビラン・潰瘍形成例では、高率にcombined MCC, Merkel cell p@olyoma virus(MCPyV) negativeであり、pure MCCではビラン・潰瘍形成例はごく少数であった。従来臨床的特徴に乏しいとされてきたMCCにおけるビラン・潰瘍の所見の有無は、pure/combined typeのみならず、MCPyVの有無と相関する意義ある所見であることを見出した。次に、今回我々は、免疫染色法を用いて、当院のMCC患者25症例32検体におけるMCPyV感染の有無を確認した。MCPyVのLarge T (LT) 抗原蛋白に対する2種類の抗体として、① CM2B4 (Santa Cruz社) 及び、② Ab3※ (James A. Dicaprio, Dana-Farber Cancer Institute, Boston, Massachusetts, USA) を用いてその染色性の違いを比較検討した。その結果、①CM2B4陽性率、Ab3陽性率はいずれも60%であり、染色性に明らかな差は見られない。②CM2B4の方が周囲組織への非特異反応が見られることが多かった。③SCCとの併存例では、CM2B4、Ab3のいずれも陰性であった。④CK20の染色性とMCPyV感染の有無に関連性は見出せなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本邦におけるMCCの疫学研究は、PubMEDおよび医中誌の症例収集・解析はほぼ完了している。欧米諸国との比較を行い、本邦における複数の特徴が抽出できた。平成30年度中の学会発表・論文掲載を目標に掲げ、現在論文執筆中である。
|
今後の研究の推進方策 |
MCCは希少疾患であり、本邦でのデータは散発的である。既に佐賀大学医学部臨床研究倫理審査委員会の承認を受け、佐賀大学主導多施設共同研究を進めており、症例は少しづつではあるが集まって来ている。今後は更に参加施設を募って、症例の収集につとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)患者の腫瘍細胞からの培養を試みるも、うまく細胞を増殖されることができず、他の細胞株との混合培養には持ってこれなかった。
(使用計画)平成29年度はPubMEDおよび医中誌からの本邦報告例の収集とデータ解析に時間を要したが、かなりの部分まで到達しているので、最終年度の平成30年度中には英文投稿まで持って行きたい。
|