研究実績の概要 |
1)ヒトチロシナーゼcDNAにin vitro mutageneisによりR77Q, P431L, H211Y, R239W, D383Nの5種類の日本人OCA1で報告されているチロシナーゼミスセンス変異を導入しました。 2)HeLa細胞に、これらのミスセンス変異導入したチロシナーゼをレンチウイルスによる導入システムにより導入し、それぞれチロシナーゼタンパク質の細胞内動態を共焦点レーザー顕微鏡により観察しました。また、細胞よりタンパクを抽出し、PNGase FおよびEndo Hによる酵素処理ののち、ウェスタンブロットにより解析したところ、野生型およびすべての変異体はPNGase Fに感受性であること、またミスセンス変異体はEndo H感受性であるものの、野生型は非感受性であることがわかりました。 3)共焦点レーザー顕微鏡の観察によって、これらのミスセンス変異チロシナーゼは、すべて小胞体にとどまっており、末梢に到達していない状態、すなわちER retensionをおこしていることが明らかとなりました。とくにH211Yは一部に特異な分布を示しており、その一部は、シスゴルジ装置まで移動しているものの、さらに末梢には到達していなかった。 4)これらのミスセンス変異を導入したHeLa細胞に、チロシナーゼインヒビターの一つであるデオキシアルブチンを投与して、チロシナーゼ活性を測定したところP431Lの変異体において、dose dependentなチロシナーゼ活性の復活が観察された。20マイクロモルの濃度でこの化合物を添加した場合、野生型チロシナーゼのおよそ18%程度の酵素活性の復活が観察された。一方、R77Q, H211Y, R239Wの変異株では、このようなケミカルシャペロン効果はみとめられなかった。
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