インボルクリンプロモーター下にIL-33を発現させることで、IL-33を有棘層に発現したトランスジェニックマウスの作成を試みた。初回は、Balb/c系マウスでの作成を試みたが、妊娠を確認できなかったため、2回目はBL6系マウスでの作成としたところ、妊娠、出産に至り、3個体のTg陽性仔マウスを得た。しかしながら、これらの仔マウスは生育が極度に悪く、3~4週で死亡してしまったため、死亡個体を凍結保存したものから、皮膚を採取して、組織学的、免疫組織学的検討を行った。さらに次のBL6系マウスでのTgマウス作成時には、同じく3個体の仔マウスが得られた。死亡する前の3週で皮膚、肝臓、肺、リンパ節を採取し、組織学的検討用にホルマリン固定、RNA抽出用にRNALater保存した。これらのサンプルを組織学的に検討したところ、手足の関節部位に好中球、リンパ球を含む著明な炎症細胞浸潤を認めた。解剖前の肉眼的にも、手足の著明な腫脹を認めた。皮膚には、肉眼的にも組織学的にも明らかな炎症を認めなかった。さらに、これらのサンプルからRNA抽出を行い、外注にてDNAアレイを施行した。現在、IL-33KOマウスの結果とも合わせ、データ解析を行っている。 今後、IL-33トランスジェニックマウスにおけるサイトカインネットワークについて情報を得、野生型との差異を検討する予定である。有棘層でのIL-33の発現は、手足という外的刺激を受けやすい部分に特に炎症を生じることが考えられ、乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性疾患での有棘層におけるIL-33発現の役割について、今後考察を加え報告する予定である。
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