研究課題/領域番号 |
16K10181
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
佐藤 貴浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 皮膚科学, 教授 (30235361)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 痒疹 / 痒み / ERK2 / 接触過敏反応 |
研究実績の概要 |
ERK2を中枢神経、末梢神経においてそれぞれノックアウトさせたマウスでの起痒物質に対する掻破行動を検討した。ヒスタミンに対する掻破行動は中枢神経ERK2欠損マウスで軽度低下していた。一方末梢神経ERK2欠損では影響をうけなかった。またBAM8-22に対する掻破も影響をうけなかった。 TNCBを用いて接触過敏反応を誘導した。ERK2の欠損は炎症反応に影響をあたえず、また反応ピークの早期へのシフトもwild-typeマウスと同様に観察された。しかし中枢神経ERK2欠損マウスでは急性期、慢性期において自発性掻破行動が低下していた。 ヒト痒疹患者で血中のオピオイド(βエンドルフィン、ダイノルフィンA)とlysophosphatidic acid(LPA)を測定した。患者は18名、健常人20名を対象とした。痒疹患者では血中βエンドルフィンとLPAが有意に高かった。ダイノルフィンAには差はみられなかった。以上からオピオイド、LPAは痒疹患者の痒み関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
着実に進展しているが、さらに多くの反応や物質について検討、データを増やすこと、また観察手法において、より再現性の高い方法で検証を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
さらに多くの起痒物質に対するERKの痒みへの関与を調べるとともに、痒疹反応への影響、アロネーシスへの関与を検討する。 また痒疹患者の痒み物質について病型ごとの解析と病変部でのLPA,オピオイドの発現を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子改変マウスの作成に時間を要していること、また複数の手法で同一の仮説の検証をおこなってきていること、また患者サンプルの回収に時間がかかったことなどから使用額が予定よりすくないが、研究自体は着実に進めており、今後必要備品の購入など所定の額の使用を予定している。
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