研究課題
【目的】統合失調症患者・両親トリオのエクソーム解析に基づいてリスク遺伝子を確定し、死後脳研究によりリスク遺伝子の脳内発現異常を明らかにすることが本研究の目的である。【方法】本研究は、新潟大学医学部および各共同研究機関の遺伝子倫理審査委員会で承認されている。対象者(必要に応じて代諾者)からは書面にて研究参加の同意を得た。はじめに、統合失調症患者・両親トリオ2家系の6人を対象として、ゲノムDNAから作製されたエクソームライブラリーをHiSeq2000システムでシークエンスした。検出された変異をフィルタリングし、候補リスク変異を選択した。候補リスク変異が存在する遺伝子のうち、2家系に共通するものを候補リスク遺伝子とした。次に、統合失調症患者96人を対象として、FBXO18遺伝子のタンパク質コード領域をリシークエンスし、稀な非同義変異を検索した。さらに、統合失調症患者1376人と対照者1496人を対象として、FBXO18遺伝子の稀な非同義変異を統合失調症との関連解析を行った。【結果】エクソーム解析により、2家系に共通する候補リスク変異としてFBXO18遺伝子の稀なフレームシフト変異(L116fsX)を同定した。FBXO18遺伝子のリシークエンスにより、3個の稀な非同義変異(V15L、L116fsX、V1006I)を検出した。しかし関連解析では、これらの変異と統合失調症との有意な関連は認められなかった。【結論】FBXO18遺伝子の稀な非同義変異が統合失調症の発症に関与している可能性は支持されなかった。
3: やや遅れている
現在までに統合失調症患者・両親トリオ127家系のゲノムDNAサンプルを収集し、11家系についてエクソーム・シークエンスを終えている。その中でも2家系の解析を優先し、その成果を国際誌に報告した。しかし、残る家系のエクソーム・シークエンスやデータ解析ができていないことから、やや遅れていると判断した。
統合失調症患者・両親トリオのゲノムDNAサンプルをさらに収集する。残る家系のエクソーム・シークエンスやデータ解析を進めていく。
統合失調症患者・両親トリオ2家系の解析と論文発表を優先させ、残る家系のエクソーム・シークエンスやデータ解析を平成28年度内に行うことができなかったため。
残る家系のエクソーム・シークエンスやデータ解析を行うとともに、候補遺伝子が同定されればリシークエンスを行う。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Psychiatry and Clinical Neurosciences
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/pcn.12526