これまで統合失調症をはじめとした精神神経疾患の遺伝的および生物学的要因の関与は明らかであったが、その詳細は不明な点が多かった。今回の研究成果はある一つの遺伝子が新たな統合失調症の原因であることを双方向的に証明したことが最も重要な点である。現段階ではこの遺伝子変異が脳機能に影響を与えるメカニズムの同定にはいたっていないが、今後解析を続けることにより統合失調症の病態解明につながるのみならず、診断の細分化や新たな治療標的の同定につながる可能性がある。このように本研究は医療行政上大変有意義であり、国民の保健・精神医療に多大なる貢献ができると考えられる。
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