研究課題/領域番号 |
16K10193
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
音羽 健司 帝京平成大学, 臨床心理学研究科, 教授 (70456119)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 遺伝子 / うつ状態 / ストレス / 環境 / 産業 / 予測因子 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、産業および一般集団サンプルを対象に、1)多数の遺伝子座位を組み合わせた遺伝リスクスコアによるうつ状態の予測因子の探索、2)職場環境ストレスによる遺伝子メチル化変化とうつ状態の関連の評価、等である。 本年度は、九州地区の企業に勤務する従業員440名の末梢血サンプルとともに職業ストレス(Job Content Questionnaire: JCQ; Effort/Reward Imbalance Model: ERI)データを得た。JCQは仕事の要求度-裁量度によって職業ストレスを測定するもので(Karasek et al., 1998)、平成27年12月より全国の企業で施行されるストレスチェック制度にも利用されている。さらに、北陸地区の企業より約300名の末梢血サンプルと職業ストレスのデータの提供を受けた。これによって、企業の従業員約700名ほどのサンプル収集を進めた。 うつ病の候補遺伝子としては、これまでに報告のあった関連研究、連鎖研究、遺伝子発現研究からKao et al(Plos One, 2011)が優先化(prioritization)を行い、うつ病の候補遺伝子リスト(DEPgene)を報告している。本年度では、サンプル収集を中心としたため、遺伝子解析までは進められなかったが、この候補リストに最近までのGWASデータを含めて96多型部位(single nucleotide polymorphisms: SNPs)を選別を行った。今後の予定としては、一度に多数のSNPsを解析可能なDigiTag2 systemを用いて解析を行い、一方のサンプルを用いた結果から得られた最適SNPsの組み合わせを用いて、もう一方のサンプルで同様の予測解析を行い、結果の有効性を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定としては、産業領域のサンプル収集を進めた上で、遺伝子解析を行う予定としていたが、サンプル収集の計画と実行に時間がかかり、予定以上に研究遂行が遅れた。しかしながら、予定通りのサンプル数を確保できており、来年度以降で候補遺伝子の絞り込みと遺伝子解析を行う予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針としては、うつ状態の候補遺伝子の絞り込みを行い、48~96遺伝子多型部位をセットとした遺伝子解析を行う。数百名規模の別々に収集したサンプル集団を用いて、一方のサンプルで候補となった遺伝子多型の組み合わせによって、うつ状態の予測因子の絞り込みを行い、さらに他方のサンプル集団での予測が可能か解析を行う。 以上の他にも、産業サンプルの一部を用いて、職場環境ストレスとメチル化変化の関係についても解析を行い、うつ状態の予測遺伝因子の探索を行う予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定としては、産業領域のサンプル収集を進めた上で、遺伝子解析を行う予定としていたが、サンプル収集の計画と実行に時間がかかり、本年度の遺伝子解析まで遂行することができなかった。しかしながら、予定通りのサンプル数を確保できており、来年度以降で候補遺伝子の絞り込みと遺伝子解析を行う予定としている。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度分の遺伝子解析予算は翌年度へ繰り越し、予定通りの遺伝子解析の費用として利用することとしている。また、翌年度分の予算については、遺伝子解析によって得られた結果の学会報告や論文発表費用として利用する予定である。
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