研究実績の概要 |
若年性ミオクロニーてんかん(JME)は、思春期に発症し、ミオクロニー発作、強直間代発作などを特徴とする最も頻度の高い特発性てんかんの一つである。申請者らは、遺伝的連鎖解析、ポジショナルクローニングにより、第6番染色体短腕6p12から原因遺伝子の一つとして新規の遺伝子EFHC1の同定に成功した(Suzuki et al., Nature Genetics, 2004)。さらに、申請者を含む研究チームおよび複数のグループから、新たなJME疾患変異の報告が続いている(Medina et al., Neurology, 2008)。それらの疾患変異は、ヨーロッパ人のJME家系、若年性欠神てんかん、潜因性の側頭葉てんかん、非分類型の特発性全般てんかんから見つかっている。このことより、EFHC1はJME発症に関与しているだけでなく、特発性全般てんかんの痙攣誘発に広く関与している可能性もでてきている。本研究では、EFHC1変異が引き起こすてんかん発症メカニズムの解明につなげる知見を得ることを目的としている。本年度は、Efhc1遺伝子がコードするmyoclonin1タンパクと我々が同定している複数のmyoclonin1に相互作用するタンパク(未発表データ)のうちの1つの結合タンパクとmyoclonin1との結合を阻害することでmyoclonin1機能不全を誘導したマウスについて、我々の既報(Suzuki et al., Hum. Mol. Genet., 18:1099-109, 2009)の手技に従い、けいれん誘発剤のペンチレンテトラゾール (PTZ) に対する痙攣閾値をmyoclonin1結合阻害マウスと対照群間で比較検討した。まだ使用動物数が少ないために最終的な結果ではないが、myoclonin1機能不全マウスにおいて、けいれん誘発剤に対する痙攣閾値が低下する傾向を示す結果を得た。
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