自閉症の原因遺伝子の一つであるNLGN4Xは後シナプス膜タンパクをコードし、シナプスの形成や維持に関与することが知られる。しかしNLGN4X遺伝子は動物種により必ずしも保存されておらず、動物モデルでの機能解析が困難なため、その機能は十分解明されているとは言えない。特に自閉症発症との関連は不明なままである。ヒトでのNLGN4X遺伝子機能を知るためにNLGN4X欠損、および疾患型NLGN4Xを有するiPS細胞の作製を試みた。 本年度は、ゲノム編集によって作製したNLGN4X KO iPS細胞株の適切な神経分化誘導法を確立した。さらに、他の健常日本人男性由来iPS細胞株を新たに入手し、より高い神経分化誘導効率を示す株を比較検討した。新たに入手したiPS細胞株でのKO株の作製を完了したが、神経細胞への分化誘導による解析には至らなかった。これらの実験と合わせて、KO株樹立と同時にレンチウイルスを用いたNLGN4X KD実験を行うために、shRNAを五種類デザインしKD効率を検証したところ、内2つが高いKD効率を示す事を明らかにした。
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