研究課題
(1)傍正中視床下部の病変により2次性にオレキシン神経が障害された過眠症が多く報告されており、2004年にMSのサブタイプであるNMOに特異的に検出される自己抗体が発見され、その標的抗原は脳内の水分子チャネルであるAQP4であることが見出された。AQP4抗体が陰性でもMOG抗体陽性のNMO spectrum disorder症例など報告されており、亜型が存在する。AQP4抗体の陽性例、陰性例、および抗MOG抗体陽性例のオレキシン値についても検討した。NMO35症例のうちで、AQP4抗体陽性例は26例、AQP4抗体陰性例は9例、男性3例のみMOG抗体陽性であった。オレキシン値はMOG陽性例では比較的に高値であった。両抗体とも陰性例では、ステロイドパルスやγグロブリン療法後のオレキシン値の改善が乏しかった。(2)抗NMDA受容体抗体に関しては、髄液だけの症例に限定して検討を行った。金沢医大での測定例も対象に加えて、精神科由来の髄液169例で14例が陽性であった。その他に22例の睡眠障害の測定で、6例の陽性例を見いだした。14例のうちの7例は脳炎に至った症例であり、当初は緊張病と診断されていた。もう7例は神経症状の無い精神症状のみの症例であり、精神科の診断としては、緊張病3例、短期精神障害2例、統合失調症2例であった。睡眠障害の6例の陽性例の内、5例がナルコレプシーで、1例が反復性過眠症であった。ナルコレプシーの1症例は、NMDAR脳炎に罹患後に遷延する眠気に関しての検索であったが、ナルコレプシー・タイプ2の診断であり、脳炎に罹患前の高校生の頃より症状は存在したと考えられた。脳炎症状の無い精神症状のみの症例をSZ圏の入院患者の全体も含めて、詳細に検討したところ、約1000例のうちで、80例がNMDA受容体抗体の存在が疑われて検査をされ(8%)、5例が陽性であった(0.5%)。
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