研究課題/領域番号 |
16K10211
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 聡 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00456675)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 精神医学 / 摂食障害 / 神経性やせ症 / 肝障害 |
研究実績の概要 |
神経性やせ症(AN)においては体重と栄養状態の回復が治療の第一歩である。極度の低栄養をきたしたAN患者の再栄養療法の最終的な目標は、体重を回復することによって食事パターンや空腹感・満腹感を正常に戻し、低栄養から生じている様々な生物学的、心理学的問題を改善することである。その再栄養過程でしばしば生じる肝酵素上昇は、投与栄養量を控えることにもつながり、治療上の問題となる。 我々は、極度の低栄養を伴う摂食障害患者において、肝障害の代表的なマーカーである、再栄養療法中のalanine aminotransferase(ALT)値上昇のリスク因子を探索し、その治療経過に与える影響を検討した。結果、ALT値上昇のリスク因子として、低年齢発症が同定された。栄養投与量などの栄養療法のあり方は、ALT値上昇に関与していなかった。また、再栄養療法過程で生じるALT値上昇は、体重増加開始の遅れと関連していた。 なお、この結果については、英文専門誌であるJournal of Eating Disorders(査読有)に受理され、"Risk factors for elevated liver enzymes during refeeding of severely malnourished patients with eating disorders: a retrospective cohort study"として、2016年12月に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今期においては、予定していた健常者データの追加が、マンパワー上の問題から停滞したため。今期は、既存のデータ解析を中心に研究を実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度中に行う予定であった健常者データの追加は、既存データ解析をいったん縮小した上で、平成29年度中に進める計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究に関するマンパワーの問題から、当初予定していた健常対照群からのサンプリングが停滞したため、頭部MRI撮影設備使用費および謝礼の支出が行われなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に行う予定であった健常対照群からのサンプリングについては平成29年度中に行い、次年度使用額については今年度中に解消される予定である。
|