研究課題/領域番号 |
16K10211
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 聡 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00456675)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 摂食障害 / 神経性やせ症 / 回避・制限型食物摂取症 / 精神医学 / 飢餓 / 栄養 |
研究実績の概要 |
最重症の神経性やせ症における血中生理活性物質(IL-18)の動態について、健常者と比べて減少していることや体格指数との相関が患者群のみで消失していることを明らかにした。これらの結果とともに、IL-18の動態が神経性やせ症の慢性化機転と関連している可能性についての報告を、英文専門誌(査読有り)に行った(Nutrients 11(3) 2019)。また、最重症の神経性やせ症が治療経過において、精神病性障害に類する経過をたどることを示し、従来論じられることのなかったごく低栄養期における精神療法的介入の可能性について、従来の精神病性障害への介入技法が援用できることを述べた論文(単著)を投稿し、和文専門誌に掲載された(精神科治療学 33(12), 2018)。他、和文専門誌(査読あり)に、神経性やせ症の発症予防に関する社会活動の必要性を論じた論文(共著)を投稿し、掲載された(精神神経学雑誌 120(9), 2018)。 国内の専門学会にて、神経性やせ症に時に合併する上腸間膜動脈症候群の医学的管理(注目すべき臨床徴候・発症回避のための介入など)についての発表(日本摂食障害学会学術集会、2018)および、国内の専門学会シンポジウム(指名)にて、重症神経性やせ症の入院治療についての発表(国内有数の治療施設である代表者所属施設における標準的な治療手技についての発表)を行っている(日本精神神経学会学術総会、2018)。 前年度までのものを含め、国内外の専門誌や国内学会での発表を通じ、神経性やせ症の、特に極低栄養状態における脳病態の一端に触れ、身体医学的重篤度をふまえた個別的な精神療法的介入の新規技法について国内外に情報発信を行うことができた。これらの知見については、所属施設内における治療マニュアルの改訂に反映させ、同時に、地域での講演活動などを通じ、臨床現場および社会へのフィードバックを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、疫学的研究論文を、英文専門誌(査読あり)に投稿する準備を進めているが、研究協力者の人員減などの要因により、最終年度内で完了させることができなかった。期間延長の申請を受理いただき、現在、投稿準備は最終段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度として予定していた最後の論文の投稿について、現在、最終的な準備段階にある。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に発表を予定していた最後の論文について、平成30年度内に完成させることができず、現在、投稿準備の最終段階にある。英文校正および、査読を経て掲載(オープンジャーナルを予定)が決まってからのAPCとして、助成金残額を使用する予定である。
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