研究課題
背景:治療可能な認知症である特発性正常圧水頭症(iNPH)にアルツハイマー病(AD)の病理の併存が多いことが報告されている。このAD病理の有無と臨床症状、およびシャント術後の改善との関連は明らかにされていない。目的:MRIで脳内アミロイドを描出できる新しい撮像法であるPADRE法をiNPH患者に対して実施し、iNPHにおける脳内アミロイドと臨床症状との関連を明らかにした。また脳脊髄液(CSF)中のADバイオマーカーで判定したAD病理の有無とシャント術後の脳血流の改善との関係も検討した。結果:iNPH40例にCSF排除試験を実施したところ24例が陽性であった。その中でシャント術で改善を認めたdefinite iNPHは11例(iNPHGSの歩行、認知、排尿のスコアはそれぞれ1.7±0.4, 1.7±0.6, 1.5±1.0。MMSE 25.8±0.3, TUG 11.9±2.2秒)であった。PADRE法によるMRI撮像が施行できた16例中、13例がCSF排除試験で陽性となり、このうち6例について検討を行ったところ、頭頂葉におけるアミロイド沈着量とTUGの時間との間に正の相関を認めた(p=0.019)。この結果より高位円蓋部の狭小化が認められる頭頂部のアミロイド沈着量が多いほどiNPHにおける歩行障害が強いことが明らかになった。またCSF中のADバイオマーカーによってAD病理併存群と非併存群とに分けて、シャント術後の脳血流の改善を比較したところ、非併存群では、被殻、扁桃体、海馬、海馬傍回で脳血流が改善したが、併存群では脳血流の有意な改善を認めなかった。この結果から、ADが併存したiNPHではシャント術後に症状が改善しても、脳血流の改善は得られにくいことが明らかになった。この知見は、長期的なシャント成績がAD併存群では限定的となる可能性を示唆するものと考えられた。
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