研究実績の概要 |
経頭蓋直流電気刺激法(transcranial direct current stimulation :tDCS)の統合失調症治療に対する臨床応用へ向けて、最適な治療設定を決定することを目的とした。また、tDCS前後の脳内ネットワークの変化を脳波解析などの神経生理学的手法で解明し、精神症状・認知機能障害の変化との相関から、統合失調症の病態を解明することを目指した。具体的には、 (1)種々の刺激条件・部位の設定を用いたtDCSによる、統合失調症の認知機能・精神症状など臨床面での変化 (2)tDCSによる前頭葉機能を中心とした脳内神経ネットワーク変化の解明 (3)統合失調症の認知機能・精神症状の病態解明 の3点を明らかにすることを目的とした。そのために、まずは気分障害患者におけるtDCSの認知機能改善の効果について、2つの刺激条件で、刺激前後の被験者の認知機能、気分障害症状の変化と脳波による部位間相関解析を解析した。その結果、気分障害症状や認知機能には著明な変化はないにもかかわらず、脳波解析による脳内部位間の相関に変化が見られたため、英文誌に報告した(The correlation between baseline prestimulus brain activity and anxiety change in single-session transcranial Direct Current Stimulation. K. Nishida, R. Pascual-Marqui, K. Kouji, M. Yoshimura, S. Ueda, S. Ikeda, Y. Koshikawa, R. Ishii, T. Kinoshita. March 2019 Brain Stimulation 12(2):545 DOI: 10.1016/j.brs.2018.12.799)
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