研究実績の概要 |
全頭型脳磁計を用いて統合失調症32名、双極性障害22名、うつ病16名、健常者38名のauditory steady-state response (ASSR)を記録し、解析を行っている。 刺激は1ミリ秒のクリック音からなり、両側にそれぞれ20、30、40、80Hzの周波数で連続するクリック音として提示した。それぞれの連続クリックの持続は500ミリ秒で、クリックの音圧レベルは80dBとした。連続するクリック音の間隔は500ミリ秒とした。MEGデータは全頭型306チャネル脳磁計(Vectorview; ELEKTA Neuromag, Helsinki, Finland)を用いて取得した。データの解析は、最も強い反応を示す平面型グラディオメーターのうちの22チャネルを選び行った。 ASSRのピーク値、位相同期性としては、両側半球性に、健常者=うつ病>双極性障害=統合失調症という傾向が得られた。クリック音刺激中の位相同期性は現在解析中である。更に、MNE解析、各自の頭部MRI画像を用いたソースベースでの解析を行う予定としている。 なお、MNDA受容体機能と関連していると言われている聴覚ミスマッチ陰性電位の磁場成分であるMMNmも調べて論文として報告した(Hirakawa et. Al., J Affect Disord, 215: 225-229, 2017)。この論文では、うつ病患者は右半球のMMNm磁場強度が有意に減弱していたという結果であった。また、追加研究として、視覚的に提示された自己の名前に対する誘導神経振動の予備的研究も行った。 このように様々な精神疾患に対して、多角的に精神疾患の興奮性・抑制性神経機能を調べていく予定である。
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