研究実績の概要 |
本研究の目的は、音に対する情動反応の調節の基盤となる神経回路およびその作動機序を解明することであった。H30年度までに、マウスの二音弁別恐怖学習課題における安心行動を発見し、それに関する論文を最終年度(2019年度)に発表した(Takemoto & Song, 2019, Lern Mem)。この知見は、情動制御メカニズム研究を今後進めていく上で広く利用される行動モデルとなり得る。またそれと並行して、情動反応調節の基盤となり得る神経回路の探索を行い、島皮質内の異なるニューロン群から、情動・自律神経反応の制御中枢である扁桃体・視床下部などへの並列回路の存在を明らかにし、Gordon research conference(2019年8月、ボストン)にて学会発表した。これについては、論文発表にはまだ至らないものの、神経回路レベルでの情動制御メカニズムの新規概念の提供が期待される。
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