研究課題
もの忘れを主訴に慶應義塾大学病院メモリー外来、ないしは精神神経科を受診したが認知機能にあまり低下が認められなかった患者の中で、本研究における(Subjective Cognitive Decline: SCD)SCDの選択基準に合致し、文書で同意が得られた42例(アミロイドPET検査陽性10例、陰性32例)について、アミロイドPET検査、認知機能検査、心理検査等の結果から、SCDの臨床的・神経心理学的特徴などを解析・評価した。アミロイドPET陽性群と陰性群ではおおむね神経心理学的検査上の差はないが、論理性記憶検査の遅延再生課題の結果では陽性群で成績に低下傾向がみられた。もの忘れの自覚の程度は抑うつ気分・不安や神経心理学的検査の結果とは関係しないが、アミロイド陰性群ではもの忘れの自覚の程度が言語の流暢性の低下や意欲低下と相関することを確認した。以上の結果について論文投稿し、受理された。(Funaki et al. Psychogeriatrics, doi: 10.1111/psyg.12397)アミロイドPET検査の結果については、実施した全例から結果告知の希望があったため全例に告知を行った。SCD全42例に対して、気分・不安の評価尺度であるCES-D,IES,STAIをPET検査前、告知後6週間、6ヶ月、1年後に実施し、告知による長期的な気分・不安の変化を解析・評価した。アミロイドPETの結果告知については、告知後6週間、6ヶ月、一年後の気分・不安尺度で両群に気分や不安に関する差がないことを確認し、国際アルツハイマー学会(Wake et al. AAIC 2019, Chicago)で発表した。また現在アミロイドPETの結果告知により心理的影響について、論文を投稿中である。
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Psychogeriatrics
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10.1111/psyg.12397
EJNMMI Research
巻: 9 ページ: 7
10.1186/s13550-019-0477-x
Advances in Alzheimer's Disease
巻: 07 ページ: 141~152
10.4236/aad.2018.74010
老年精神医学雑誌
巻: 29 ページ: 274-280