研究課題/領域番号 |
16K10229
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
白川 治 近畿大学, 医学部, 教授 (40243307)
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研究分担者 |
辻井 農亜 近畿大学, 医学部, 准教授 (90460914)
柳 雅也 近畿大学, 医学部, 講師 (10418775)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | うつ病 / メランコリー / 自殺 / QOL / NIRS |
研究実績の概要 |
1)メランコリー型うつ病と非メランコリーうつ病の差異をQOL(SF-36)とNIRSによる脳機能評価から明らかにした。メランコリー型うつ病では、非メランコリーうつ病に比べて前頭側頭部における脳賦活反応性が低いことがNIRS評価によって見出された。 メランコリー型うつ病では、日常役割機能(精神)と前頭部における脳賦活反応性が正の相関を示したが、非メランコリー型うつ病ではこうした相関がみられなかった。以上より、メランコリー型うつ病と非メランコリーうつ病では、日常役割機能(精神)と関連する前頭部の脳賦活反応性に違いがあることがわかった。 2)うつ病において、自殺企図歴の有無により脳機能に差異がみられるかを、NIRSを用いた脳機能評価から明らかにした。対象のうつ病患者における抑うつ症状の重症度、衝動性、攻撃性、絶望感の程度は、自殺企図歴の有無で有意差はなかった。自殺企図歴の有無に関わらず、うつ病患者における前頭側頭部の賦活反応性は健常対照に比べて低下していたが、左中心前回では、自殺企図歴のあるうつ病患者が、自殺企図歴のないうつ病患者および健常対照に比べて有意に低下していた。さらに、自殺企図歴のあるうつ病患者では、低下した左下前頭回の賦活反応性と衝動性の程度が負の相関を示し、右中前頭回の賦活反応性と絶望感ならびに攻撃性の程度が負の相関を示した。以上より、臨床評価とともにNIRSによる脳機能評価はうつ病患者における自殺傾性評価に有用であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
うつ病ならびに双極性障害患者の臨床データ、NIRSデータの蓄積は順調で、データ解析を進めつつ、順次、学会発表、論文公表している。
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今後の研究の推進方策 |
すでにデータの蓄積は十分あるが、いかに臨床的意義を踏まえた解析を進めるかが当面の課題である。 これまでの研究は主に横断的であったため、今後は、病状の推移によって臨床評価と関連する形でNIRS所見の変化を明らかにするなど、縦断的な視点を織り込んだ研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費の支出が年度途中からとなったこと、国際学会未発表であったことなどによる。
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次年度使用額の使用計画 |
人件費の支出が年度当初からとなっており、国際学会での発表、国際誌への複数の投稿を予定している。
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