研究課題/領域番号 |
16K10233
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
八幡 憲明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 研究員(任常) (70409150)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳・神経 / 精神疾患 / 安静時脳機能画像 / 脳機能結合 / 薬理学 |
研究実績の概要 |
本研究は、向精神薬投与下の動物にマルチモダル磁気共鳴撮像法(MRI)脳計測を実施し、機械学習ベースの情報抽出技術を適用しながら、脳画像指標(脳機能結合など)と向精神薬服用との間の関係性を定量的に表現できるモデル開発を目的としている。平成28年度は、研究実施計画に沿って次の3項目が実施された:(1)マルチモダルMRIデータの取得:麻酔下の成熟マウス(C57種)14個体に対し、動物用7テスラMRI装置とマウス頭部専用の過冷却高感度RFコイルを組み合わせながら、高精度脳構造画像や安静時脳機能画像などのデータを取得し、以下に述べる本年度の解析において使用された。(2)安静時脳機能画像による脳機能結合評価:収集された安静時脳機能画像データについては、マウス脳に対する最適な画像解析手法を十分検討しながら脳機能結合の指標を確立した。具体的には、下処理作業(体動補正、空間標準化、平滑化など)を適切に施した脳機能画像から、標準的なマウス脳の解剖学アトラスにおいて定義されている各脳領域での平均波形(BOLD信号時系列データ)を抽出し、これに生理的ノイズ除去やバンドパスフィルターを適用した上で脳領域間の相関係数を算出した。これをもって脳機能結合の評価指標とした。(3)脳機能画像・脳構造画像などの重畳化:本研究では、同一個体に対して取得された脳機能画像や脳構造画像など複数モダリティの画像を適切に重畳化することが必須であるため、本年度はその方法論の開発と妥当性の評価を行った 。独自に作成した画像解析プログラムと、標準的な画像処理パッケージであるSPMやFSLなどを組み合わることにより、モダリティ特異的な空間的歪みを非線形変換にて補正しつつ、複数モダリティの画像の位置合わせを最適に実行できる手法が確立された。(1)にて取得された画像データへの適用結果を評価することで、開発した手法の妥当性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRI撮像施設の都合(利用可能時間の制約、機器調整など)により、データ収集のスケジュールが遅れ気味であったが、撮像されたデータを元に解析技術の方法論がほぼ確立された。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、より多くの個体に対するMRIデータ計測を推進しながら、向精神薬の服用効果を有効に表現できる機械学習モデルの構築を目指す。臨床研究で得られているヒトでの知見との整合性についても、併せて比較検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究スケジュールの都合により、少額(806円)の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に使用する実験動物の購入費の一部に充てる予定である。
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