アルツハイマー型認知症(AD)・軽度認知障害および健常者を対象にpositron emission tomography(PET)検査を行い、脳内のタウおよびアミロイドの蓄積を評価した。PETプローブとしてそれぞれ[18F]THK5351、[11C]PiBを用いた。全例に頭部MRIを施行した。最終的に37名の健常被験者と30名のAD/MCI患者の解析を行った。30名のADおよびMCI患者群(平均年齢73.4±8.9歳、平均MMSE 22.3±4.1、平均Global CDR0.9±0.4)のうち、まずはPiB-PETの原画像での視察で、アミロイド陽性か陰性かの二分法にて、20名が陽性で10名が陰性であった。一方、37名(平均年齢66.4±9.6歳、平均MMSE 28.9±1.5、平均Global CDR 0.1±0.2)の健常志願者のうち、30名が陰性で、7名が陽性であった。THK5351-PET画像の解析は、個人のTHK5351画像をSPM12を用いてMRIに位置合わせし、MRIを分節化した後、解剖学的標準化し、小脳皮質の集積で除してSUVR画像を作成した。その結果、アミロイド陽性AD患者 は陰性健常者と比較して、THK5351は両側側頭・頭頂葉、両側後部帯状回、楔前部、両側外側側頭葉、両側上部前頭葉皮質で集積が増加していた。ところが最近の研究において[18F]THK5351はタウのみではなく、アストロサイトに豊富に存在するモノアミン酸化酵素B(MAO-B)にも結合することが明らかにされた。そのためタウ選択性を高めた次世代のタウPETプローブが開発されつつある。一方、ADにおけるTHK5351の集積増加はMAO-Bが存在するアストロサイトの変化を反映すると考えられることから、MAO-Bに選択的なPETプローブはADの病態のマーカーの一つとなりうるとも考えられる。
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