研究課題
平成28年度に立ち上げた多職種チームによる集団認知行動療法を継続し、同様に認知矯正療法士を含む多職種チームで認知リハビリテーション(NEAR: Neuropsychological educational approach to cognitive remediation)も継続した。この2つのプログラムを組み合わせた気分障害回復活性化統合プログラムを平成31年・令和元年度は3クール、計17名の患者をプログラムに導入した。プログラム開始前後での評価は11症例で実施でき、各種評価尺度や質問紙のほか、認知機能検査も実施した。最終クール(6名)は新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響で中断となり、データは集積できなかった。平成30年度にプログラムを実施した12症例に対しては1年後評価として同様に各種評価尺度や質問紙、認知機能検査を実施した。またチームメンバーの集団認知行動療法や認知リハビリテーションのスキルを維持するために集団認知行動療法研究会や認知機能リハビリテーション講習会などへ参加した。プログラム前後の評価尺度を解析した結果、抑うつ症状や全般的機能、自動思考、QOLなど多くの領域で有意な改善を認めた。一方、スキーマの尺度は有意な改善は認めなかった。性別や年齢、罹病期間、IQ、診断は効果を予測しなかったが、開始時の認知機能検査を一部がプログラムの効果を予測し、特に聴覚性言語記憶検査が主観的抑うつや自動思考、全般的機能の改善と相関していた。このように予測因子を同定した先行研究はなく、この結果は第9回と第10回集団認知行動療法研究会学術総会で発表した。また、副次的な解析として、双極性障害患者の主観的認知機能障害を測定する評価尺度COBRAと事象関連電位の関係について第19回精神疾患と認知機能研究会で発表した。
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