研究課題/領域番号 |
16K10248
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡田 俊 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (80335249)
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研究分担者 |
鈴木 太 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30542683)
宇野 洋太 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40539681) [辞退]
森川 真子 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (60783305)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 対人関係障害 / 表情認知 / 中間表現型 |
研究実績の概要 |
研究参加者の生育歴聴取に基づく正確な診断、ならびに、本研究においては特に社会刺激に対する反応を評価することから対人場面における社会性の障害を適切に判断するため、自閉症診断面接法(Autism Diagnostic Interview-Revised)と自閉症スペクトラム観察検査(Autism Diagnostic Observation Schedule Second Edition)の臨床ライセンスを取得し、研究ライセンス保持者との評価の一致について確認した。平成28-29年度にかけてこれらの評価法の研究ライセンス講習会にも参加し、さらに研究ライセンス保持者との評価について基準を超える一致率が得られるように精度を高め、被験者の診断、評価体制を確立する段取りが組まれている。 加えて、社会的刺激のひとつとして、幸福、怒り、悲しみ、嫌悪、驚きの6表情認知と正答率、ならびに、その誤答パターンに着目し、臨床試験に参加した成人自閉スペクトラム症患者のうち、本研究への参加にも同意が得られた患者を対象にデータサンプリングを行った。さらに、その一部では、眼球運動、脳構造画像、安静時fMRIのデータも収集されている。被験者の表情認知パターンについては、被験者全体のパターン(trait)をまず明らかにした上で、薬剤投与において変化した社会的障害の程度の臨床評価との関係を調べ、stateとしての側面を明確にすることが、中間表現型としての社会認知評価に重要であると考えている。キーオープンの結果を踏まえ、これらの解析に取り組む準備はできている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は研究初年度に当たるが、診断、評価体制の整備とともに、社会認知に関連したデータサンプリングが適切に進行していることからおおむね順調に進展している。研究年度の途中で、研究分担者のうち1名が当該機関を退職し、留学したことから当初の研究計画に変更を余儀なくされた。しかし、当学に新たに着任した研究者を研究分担者に加えることで研究体制をすみやかに再構築し、この点においても大きな影響を受けることなく、順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究参加者の診断、ならびに、対人場面における社会性の障害の評価は、本研究の最も基幹をなすため、自閉症診断面接法(Autism Diagnostic Interview-Revised)と自閉症スペクトラム観察検査(Autism Diagnostic Observation Schedule Second Edition)の研究ライセンス講習会受講後に、研究ライセンス保持者との評価について基準を超える一致率が得られるように精度を高め、被験者の診断、評価体制を確立する。 臨床試験のキーオープンの結果を踏まえ、平成28年度にデータサンプリングを行った表情認知検査の結果の解析に着手し、被験者全体のパターンをまず明らかにした上で、薬剤投与において変化した社会的障害の程度の臨床評価との関係を調べ、stateとしての側面を明確にする。眼球運動、脳構造画像、安静時fMRIのデータは、まだサンプル数が不足していることから、引き続きデータサンプリングに取り組む。表情のみならず視線認知についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、研究初年度に視線測定装置の購入を予定していたが、臨床試験の被験者を対象にした本年度の研究においては簡便性を重んじ、現有機器を使用した方が適切であると判断されたことから、本年度の購入を見送った。しかし、現有機器では精度の高い測定は工学的に困難であることから、その購入を次年度に予定し、今後の研究計画に組み入れる予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
精度の高い視線測定を実施するため、視線測定装置の購入ならびに刺激セットの作成を次年度に行う予定である。
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